第94回選抜高校野球 国学院久我山、春便り 二松学舎も夢へ一歩(その1) /東京
<センバツ高校野球> 第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の出場校を決める選考委員会が28日にオンラインで開かれ、都内から国学院久我山(杉並区)と二松学舎大付(千代田区)の2校が選ばれた。久我山は11年ぶり4回目、二松学舎は7年ぶり6回目の出場で、都勢のダブル出場は2017年の早稲田実、日大三の2校以来5年ぶり。昨年の秋季都大会決勝で激戦を繰り広げた両校。待望の春切符に選手たちは喜びをかみしめながら、大舞台での健闘を誓った。大会は3月4日の抽選会に続き、同18日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕。32校が熱戦を繰り広げる。【小林遥、加藤昌平、南茂芽育】 ◇悲願の初勝利へ意気込み 国学院久我山には28日午後3時20分ごろ、出場決定を知らせる連絡があった。電話を受けた国清英明校長は「ありがたくお受けいたします」と応え、集まった関係者に「大変うれしく思います。全校生徒にとっても大きな励みになります」と笑顔を見せた。 野球部員は校舎近くのグラウンドで練習を始めていたが、国清校長から「君たちが全力を尽くして大会に臨むことを期待しています」と伝えられると、主将の上田太陽(2年)は「ありがとうございます。真摯(しんし)に野球に向き合い、チーム全員でしっかり準備します」と引き締まった表情で応えた。 文武両道を掲げる同校。グラウンドは決して広くはなく、さらに他の部活とも共用しているため、野球部の1日の練習時間は3時間程度。しかし「環境は負ける理由にはならない」と話す尾崎直輝監督の言葉通り、チームはきっちり結果を出してきた。 昨秋の都大会では、準決勝までの7試合中5試合でコールド勝ち。決勝は二松学舎大付と激戦を繰り広げた。2点を追う九回裏、2死まで追い込まれたが、4番・成田陸(2年)が満塁の走者を一掃するサヨナラ打を放ち、大逆転劇で優勝を手にした。 その約2週間後に行われた明治神宮野球大会では、1回戦で強豪の花巻東(東北・岩手)と対戦。3―6で敗れたが、自分たちの野球が全国レベルで通用すると手応えを感じた。 昨年11月下旬には、昨夏にチームを引退した田村優樹さん(3年)が出した手紙に、オリックスや米大リーグのマリナーズなどで活躍したイチロー=本名・鈴木一朗=さん(48)が応え、同校に指導に訪れた。スーパースターの来校に部員の士気は上がり、練習にも力が入った。 過去のセンバツ出場でまだ勝ちがない同校は、今回、悲願の初勝利を目指す。上田主将は出場決定を受け「自分たちができる最大限のことをやるだけ。まずはセンバツで1勝できるように頑張りたい」と意気込んだ。 2013年から務める尾崎監督にとって、春の甲子園は初めて。「イチローさんから教わったことを甲子園という舞台で体現して、東京の代表として一つでも勝って、少しでも恩返ししたい」と笑顔で話した。 ◇ラグビー、駅伝も全国に 1944年創立の私立校。52年に現在の校名に変わった。創立時は男子校だったが、85年から共学(男女別学)になった。創立者の岩崎清一が定めた「忠君孝親・明朗剛健・研学練能」の学園三箴(しん)をもとに「明るく、たくましく、さわやかな、明日の日本を担う若者」の育成を目指す。所在地は杉並区久我山1の9の1。 野球部は45年創部。過去のセンバツ出場は79、85、2011年の3回で、いずれも初戦敗退。夏の甲子園も3回出場。部員数は59人。OBに千葉ロッテの井口資仁(ただひと)監督、日本ハム元選手の矢野謙次氏ら。 今年度、ラグビー部と男子陸上競技部(駅伝)、男子バスケットボール部も全国大会に出場した。 〔多摩版〕