大谷選手と水原氏報道「有名人相手であれば言いたい放題」に違和感 “根拠のない犯罪認定”と依存症への理解促進…豊田真由子が指摘
「依存症」は深刻な「病気」
今回、水原氏の保釈条件のひとつに、「ギャンブル依存症の治療」がありました。 もちろん、ギャンブル依存症だからといって、犯した罪が許されるわけではありません。ただ、「依存症」は深刻な病気であり、罰を与えるだけでは問題は解決しない、基本的に治療をしないと治らない、結果として、再犯する可能性も高い。したがって、本人及び社会双方のために治療が必要、ということが広く認識されることが大切だと思います。 水原氏の賭けの頻度や金額は異常にしか見えませんが、ある意味、依存症患者の典型的な行動パターンともいえます。 人間の脳内に、ギャンブル等で味わうスリルや興奮といった行動により、快楽物質(ドーパミン)が放出されると、中枢神経に作用し、快楽・喜びにつながります。行動が習慣化されると、快楽物質の強制的な分泌が繰り返され、すると、次第に中枢神経の機能が低下してしまい、以前のような強い快感や喜びを得ようとして、ますますギャンブルの頻度や金額が増えていく、という悪循環に陥り、もはや自分の意志ではコントロールできなくなります。 そして、どんなに負けても、なぜか「次こそは勝てる」と思い込み、そして「これで最後にするから」が延々と続くことになります。正常な判断がつかなくなり、びっくりするような嘘を重ね、人間関係を壊し、会社をやめ、破産し、家族から縁を切られ、人生をぶち壊す――そういう人が、世の中に一体どれほどたくさんいることでしょうか。 かつては、アルコールや薬物、ギャンブル等に依存するのは、本人の意志の弱さや道徳観念の問題とされてきましたが、人間の脳の作用による病理であるということが分かってきました。各種の犯罪行為につながるリスクも高まることにかんがみれば、たとえ治癒への道のりは容易ではないとしても、医学的治療や福祉的支援等につなげていくこと、そしてそのことによって、少なくとも、患者がひとりきりで、あるいは家族だけに抱え込ませないようにすることが重要であると、社会が認識することが求められていると思います。