主役「米中」の存在感薄いG20外相会合
経済アナリストのジョセフ・クラフトが2月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ブラジル・リオデジャネイロで開催されたG20外相会合について解説した。
G20外相会合開幕、日本はフランスとウクライナ支援継続を確認
20ヵ国・地域(G20)外相会合に出席するためブラジル・リオデジャネイロを訪問中の上川外務大臣は2月21日、フランスのセジュルネ外相と会談した。19日に東京で開催された「日・ウクライナ経済復興推進会議」の成果を踏まえ、ウクライナへの支援継続を確認した。 飯田)ロシアによるウクライナ侵略について、上川外相は「G20の協力の基盤を揺るがす暴挙であり、法の支配への大いなる挑戦だ」と非難しました。
米中の存在感が薄い今回のG20外相会合
クラフト)日本外交の存在感が出るのはいいことなので、ぜひ上川外相には引き続き頑張って欲しいのですが、残念ながら、中心プレーヤーである中国とアメリカの存在が薄い。まず中国ですが、王毅外相は出席すらしていません。やはり「明確なスタンスを示したくない」という思惑が見えます。アメリカはアメリカで、ウクライナ支援に関して国内が分断しており、足並みが揃わない。G20でリーダーシップを示すことが難しくなっています。G20外相会合と言っても、結局は「G7対権威主義国」の政争の具の会議になりかねないので、そうならないことを期待しつつ、協議の進展を見守りたいと思います。 飯田)中国の王毅氏はヨーロッパを訪問中で、習近平氏のフランス訪問に向け、詰めの調整を行っているのではないかと言われています。 クラフト)フランスの外相がリオデジャネイロにいるのに、なぜフランスに行く必要があるのでしょうか。「ヨーロッパ外交の方がウクライナや中東情勢よりも大事なのか?」と問いたいですよね。
ロシアの宇宙核兵器開発とナワリヌイ氏の死去が、どこまで米下院の背中を押せるか
飯田)ウクライナ支援に関しても、アメリカは予算が下りず、厳しい状況になっていますね。 クラフト)注目すべきポイントが2つあります。まず、「ロシアが宇宙核兵器を開発する」というニュースが米議会を揺るがしています。 飯田)人工衛星を破壊するため。 クラフト)それから、直近のナワリヌイ氏の死去。この2つの要因が「どこまで下院の背中を押すか」が注目されます。下院での早めの予算可決を願っていますが、ここでも大統領選を見据えた政争の具になってしまっているのです。日本は政治資金問題、アメリカはウクライナ支援。あるいはG20も含めてそれぞれの思惑があり、本質の議論よりも、お互いの駆け引きが浮き彫りになっているのが極めて残念です。