戦国城下町の一乗谷、武家や町人の食紹介 福井・朝倉氏遺跡博物館でテーマ展
戦国城下町の一乗谷に住んでいた人々の食文化を伝えるテーマ展「一乗谷の戦国グルメ」が10月5日、福井市の県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館で始まった。発掘調査で見つかった魚の骨や貝殻、台所道具など240点を紹介。農作物だけでなく、マダイやサザエといった海産物も大量に消費するなど豊かな暮らしぶりが分かる展示となっている。 最盛期には1万人が暮らし、京の都にも負けない繁栄をみせたとされる一乗谷。展示は、出土した当時の人々が食べた残りかすを、朝倉館、武家屋敷、町屋の区域ごとに紹介している。町屋跡は魚類が少なく、当時安価だったサザエの貝殻が大量に出土したのに対し、朝倉館跡や武家屋敷跡からは高級魚マダイの骨が多く見つかった。 また、アワビは朝倉氏の氏神、赤淵大明神のご神体であり、朝倉氏はアワビを食べなかったとの伝承も残る。実際に朝倉館跡からは1点も出土していないが、町屋跡からは見つかっており町人らは食べていた可能性があるという。信仰心の厚さの違いも感じ取れる展示となっている。 貝殻を焼いた跡やマダイの頭の骨に残る包丁跡から、つぼ焼き、あら汁など現代と変わらない調理法で味わっていたことも分かる。このほか重要文化財の包丁やまな板、煮炊き用の鉄鍋などが並んでいる。 11月24日まで。同3日午後1時半からは、学芸員がテーマ展に関して講演する。