高校野球 白樺学園と帯広農 地元十勝吉報に沸く 「日本勇気づけたい」 /北海道
新型コロナウイルス感染拡大の影響で閉ざされた甲子園への道が再び開かれた。日本高校野球連盟は10日、センバツ出場校の交流試合開催を発表し、道内からは白樺学園と帯広農(21世紀枠)の2校が招待された。一度は諦めた夢の舞台に挑む選手や関係者はもちろん、両校を送り出す地元・十勝も吉報に沸いた。【三沢邦彦、源馬のぞみ】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 昨年の秋季全道大会を制し、道代表としてセンバツ初出場を決めていた白樺学園はこの日練習がなく、コメントを発表。白樺学園の戸出直樹監督は「交流試合という救済措置の機会を頂き、関係者の方々のご尽力に対して感謝の気持ちでいっぱい」と喜びは抑えめに。 業天汰成(ぎょうてんたいせい)主将(3年)は「自分たちのために協力してくれた方々に感謝し、甲子園では今までやってきたことを全力で出し切りたい」、エースの片山楽生(らいく)投手(3年)も「主催者の方々に感謝の気持ちを持ってプレーし、暗くなっている日本に感動を与え、勇気づけられる大会にしたい」とそれぞれ意気込みをみせた。 一方、21世紀枠で初出場するはずだった帯広農の前田康晴監督は練習後、「すごく驚いています。選手たちは気持ちや体力、技術が戻っておらず、交流試合までの残りの時間でセンバツ出場が決まった時の気持ちをもう一度思い出し、チャレンジしてほしい」と話した。 打線の中軸を担う水上流暢(はるのぶ)選手(3年)は「センバツと夏の大会が中止になり、甲子園には行けないと思ったが、プレーできると聞いてすごくうれしかった」と声を弾ませた。「大勢の報道関係者がグラウンドに続々集まり、何事か分からなかったが、まさか甲子園とは思わなかった。攻めの気持ちを忘れず、全員野球で勝ちたい。甲子園常連校と戦ってみたい」と話した。 ◇「思い切り楽しんで」 センバツ中止に落胆する球児たちを見守ってきた地元からも喜びの声が上がった。 音更町のスポーツ店「年中野球」には両校の選手たちが小学生のころから通う。店主の佐藤肇さん(57)は、センバツに続き、夏の甲子園の中止が決定した後、選手の親と話す機会があり、「気持ちを切り替えてプロを目標に励む子もいれば、高校野球が全てで目標を失った子もいた」と心を痛めていただけに喜びもひとしお。「2月から球児はコロナに振り回されてきたと思うが、信じていれば奇跡が起きる。今できる最大限の決断をしてくれたのだと思う。前向きに捉えて頑張ってほしい」と喜んだ。 店に通ってきた球児が甲子園の土を踏むのを楽しみにし、「今後の人生にも生きる経験になるはず。今できるプレーを一生懸命やって、見ている人に感動を与えてほしい」とエールを送った。 センバツ中止を受けて地元の両校を励まそうと、勤務する十勝バス(帯広市)の路線バスの車体に、応援メッセージのステッカー貼付(ちょうふ)を発案した近藤薫さん(30)は「とにかくうれしいし、良かったと思う。両校の選手には思い切り甲子園を楽しみ、甲子園の土にまみれて駆け回ってほしい」と喜んだ。甲子園の常連校で今回の交流試合にも出場予定の県岐阜商野球部出身だけに、「どちらかが県岐阜商と戦うことになれば面白い。楽しみ」と期待した。【高橋由衣、鈴木斉】