地元・大田区の風景にも変化が 世界を目指すバスケチーム「アースフレンズ東京Z」
世界を目指そうと立ち上がった「アースフレンズ東京Z」ですが、あくまでも手に入れたのはプロチームになれる「権利」だけでした。プロで通用する選手も監督もいない、全くゼロからのスタートだったのです。そのため何とか有名な監督を迎え入れ、少しずつ力のある選手を集めていきます。 ところが、肝心の本拠地が決まりません。Bリーグで活動するには、3000人以上が入る体育館が必要でした。その条件を城南地区で満たしていたのは「大田区総合体育館」だけ。しかし、まだほとんど活動実績のないチームには、なかなか使用許可が下りません。 「そうだ! 大田区の体育館なのだから、地元の皆さんに応援してもらおう」 そう考えた山野さんは、大田区の商店街組合や町内会の役員を務める方のもとを、1軒1軒訪ねていきました。そんな商店街の1つ、蒲田東口商店街で現在、副理事長を務める藤田義行さんは、当時は期待と不安が入り混じっていたと言います。 「チャレンジャーだなと思いましたが、『地元のチームにしたい』と言うので。蒲田から世界的な選手が生まれるかも知れない……そんな夢も広がりました。そうなると、『アースフレンズを応援しよう』という気持ちになりますよね」
チームと地元の皆さんが一緒になった情熱は、行政を動かします。「アースフレンズ東京Z」は晴れて大田区総合体育館を本拠地とし、Bリーグへの参入を果たしました。 地元のプロチームができたことで、町の風景も変わり始めます。アーケードにはアースフレンズを応援するフラッグが掲げられました。商店街が開くイベントにもプロ選手が参加することで、地元の中学生・高校生や子ども連れの若い家族の姿が日に日に増えていきました。 いま、4月上旬の最終節に向けて大詰めの戦いが続くB3リーグ。「アースフレンズ東京Z」は、1つ上の「B2」昇格への望みを何とかつないでいます。3月22~23日には「岐阜スゥープス」を迎え、今季最後のホームゲームが行われます。山野さんをはじめとするスタッフの皆さん、商店街をはじめとした地元の皆さんも、試合では声を揃えてチア「Zgirls」の皆さんと、「GO! Win! Z!」という声援を送るそうです。