なかなか日本に帰れない!? 旅の本屋さんが選ぶ「今すぐ冒険に出たくなる本 vol.12」『今夜世界が終わったとしても、ここにはお知らせが来そうにない。』
ハードな旅の思い出も笑いに変えて
また、石澤さんの文体が非常に軽妙で面白く、時に下ネタを挟みながら、テンポよく書き綴っているので、恐ろしすぎる公衆便所や各国の国境職員や警察官との飽くなき闘い、世界一美しい連れション、お金を消す両替屋など、もの凄い危険なエピソードや不幸な出来事も、どこか笑いを含んでいて、読んでいて思わず笑みがこぼれてしまうことが何度もありました。おそらく、自分たちの旅を読者の方にも面白がって欲しいという、石澤さんのサービス精神を体現しているような気がします。 結局、8年にも及ぶ楽園探しの旅は、コロナ禍やロシアとウクライナの戦争などの影響で、予定を大幅に変更することを余儀なくされてしまいます。昨年、石澤さんはモンテネグロに「Chin号」を置いたまま日本に一時帰国され、その間に当店を含めて様々な場所でトークイベントを開催したりしていましたが、9月頃からは再びヨーロッパに渡って、旅を再開するとのことでした。今後の旅が気になる方は、石澤さんのブログやSNSをチェックすることをオススメします。果たして海外で楽園を見つけて、無事に日本まで帰ってこれるのかなあ? 今回でこちらの連載は終了となります。これまでお読みいただき、ありがとうございました。
川田正和