台湾の先住民族「マカタオ族」 政府認定を申請 原住民委が審議へ
(屏東中央社)南部・屏東県の山沿いに暮らす原住民(先住民)族「マカタオ族」の団体は10月30日、原住民族委員会の関係者に対し、政府認定を求める申請書を手渡した。同委による関連の審議や立法院(国会)などによる法整備が順調なら来年6月にも「台湾原住民族」として認められる見込みだ。 同県の山沿いに暮らすマカタオ族は2000人余りいるとされる。かつては独自の言語や文化を持っていたとされるが、現在は政府の認定を受けていない「平埔族」に分類される。台湾では2022年、特定のエスニックグループが独自の文化や客観的記録、アイデンティティーなどを持っている場合、当事者の意向に基づき、政府に対し台湾原住民族の承認申請ができるとする判決が憲法裁判で下され、今回の申請につながった。 申請を支援した青年団体の責任者、潘韋縉さんは、政府の認定取得に向けて取り組むことの意義について、自分自身を定義するためだと語る。台湾原住民族のパイワン族や漢民族との交流により、マカタオ族の人々はマカタオ語やその他の原住民語、台湾語が混ざった言語を話すようになり、多くの集落で独自の伝統衣装が失われてしまったが、わずかに残る貴重な文化をとどめたいと話した。 原住民委の関係者は報道陣の取材に、マカタオ族は台湾原住民族としての認定を求める7番目の平埔族だとした上で、今後専門家による言語や文化、アイデンティティー、伝統祭儀などの調査が行われると説明。原住民委内のチームによる審議を経て、行政院(内閣)に報告されると、正式に台湾原住民族として認められると述べた。 22年の憲法裁判での判決では、来年10月28日までに関連の法整備を終えるよう求めており、来年の立法院で関連法案の審議が行われる予定。原住民委によるマカタオ族関連の審議も同時に行われ、来年6月にも政府認定が可能になる見通し。 (黄郁菁/編集:齊藤啓介)