イラク戦の1失点目は鈴木彩艶のミスなのか? 世界基準を知る日本人GKコーチの見解「不運をミスと断定されている」【アジア杯】
触ることができた事実には言及せず…
森保ジャパン(FIFAランク17位)は1月19日、アジアカップのグループステージ第2節でイラク(同63位)と対戦。1-2で手痛い黒星を喫した。 【PHOTO】サムライブルーと日の丸に身を包みスタジアムに集結した日本代表サポーター! 立ち上がりから大声援を受ける中東王者に押し込まれ、開始わずか5分で被弾。GK鈴木彩艶が弾いたこぼれ球を、アイメン・フセインにヘッドで押し込まれた。 このシーンについて、鈴木本人は「ファーサイドに相手選手が来ているのは見えていた。飛び出さないよりかは飛び出して、自分としても距離は近かったので。身体が反応した感じになったけど、相手のいるほうに弾いてしまった。意図的にどこかに弾こうという時間がなかったので、自分としては反応するのが精一杯だった」と記者団の前で振り返った。 しかし、その精一杯のプレーや鈴木に対する厳しい声がSNSなどを中心に強まっている。はたして、あのプレーは批判されてしかるべきものか。ドイツの古豪ケルンでU-21GKコーチを務めた経験を持ち、リオ五輪銀メダリストのティモ・ホルン(現レッドブル・ザルツブルク)などを育てた田口哲雄氏(元JFAコーチ)に見解を伺った。 「イラク戦の鈴木彩艶は不運だったなと思います。あのパンチも触ることができたという事実には言及しないで、本人もコメントしている通り弾く方向をコントロールする余裕はなく、不運にもフセインの目の前に落ちてしまったことをミスと断定されています。おそらく他のGKがクロスにチャレンジしないで、中でクリーンにヘディングを合わされて失点していたら、『仕方ないよね』という風潮になっていたかと思います」 また、田口氏は「失点はミスの連鎖の帰結ですが、その最後にいるGKが責任を問われがちです。客観的に批評するのではなく、戦犯探しに躍起になった人が叩きやすい経験不足の若者(鈴木は21歳)を叩く。それが目立つ気がします」と違和感を訴える。 日本代表の次戦は24日のインドネシア戦。批判を黙らせるような鈴木のハイパフォーマンスに期待したい。 構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部