高畑充希、たくましいヒロインから過保護の娘まで、幅広い演技力の原点
マザコンを演じるも、プライベートではファザコン?
「とと姉ちゃん」のヒロインに決定した際、高畑にインタビューする機会があったのだが、そのときは自身について「すごくファザコン」とも語っていた。しかし父親にべったりのファザコンというわけではなく、芸能の仕事で高校生のときには上京し離れて暮らしているため、より大切に思っているようなのだ。父親が東京に来るとき、一緒に食事に行くのを楽しみにしている様子だった。 「あまり会わないぐらいがいい距離感じゃないですか」とも話していた。落ち着いて、ひとつひとつの質問を大切に聞き、熟慮して言葉を選ぶ姿は物静かで知性的。この人なら役の色にスッと染まっていくだろうな、と思わせる透明さが感じられた。 そんな高畑が、極度の女版マザコン、過保護のカホコを演じている。過保護すぎる母親に黒木瞳、言いたいことを言えず一人娘を甘やかす父に時任三郎。この両親役の演技も楽しませる。カホコとの親子三角形のバランスが変わりゆく様が注目される。波に乗っている高畑にとって、また一つ代表作ができるだろうか。 (文・志和浩司)