転職先で「新入社員研修」があります。土日や平日の夜などもあるのに「自分の将来のための勉強だから」と残業代が出ません。正直納得できないのですが、本当に出ないのですか?
転職先での新入社員研修には、早く職場に慣れたいとの思いから積極的に参加する人が多いのではないでしょうか。でも、平日の夜間や土曜日、日曜日にも開かれているのに、残業や休日出勤がまったく付かないとしたらどうでしょうか。「あなたの将来のため」といわれると仕方ないかと思ってしまうかも知れませんが、問題はないのでしょうか。 本記事では、研修と労働時間の関係について解説します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
研修にも基本的には賃金支払いが必要
新入社員研修といっても、業務として行われ参加が義務づけられているものです。残業や休日勤務があれば、時間外労働、休日労働および深夜労働の割増賃金支払いや、代休の付与などが当然必要になります。 「鉄は熱いうちに打て」とばかりに、新入社員にハードな研修が行われ、割増賃金や代休などの扱いをあいまいにすることは許されません。
研修についての労働時間の取り扱いは明確に示されている
研修についてどのような場合が労働時間にあたるのかは、厚生労働省のガイドラインで 明確に示されています。同ガイドラインでは、「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」と明示しています。 そして、「参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」は「労働時間として扱わなければならない」としています。 もっとも、研修でも労働時間に該当しない場合もあります。 厚生労働省によると、研修・教育訓練であっても「業務上義務づけられていない自由参加のもの」であれば、労働時間に該当しないと説明しています。 ただ、研修・教育訓練へ参加しないと「就業規則で減給処分の対象とされていたり、不参加によって業務を行うことができなかったりするなど、事実上参加を強制されている場合」には、研修・教育訓練であっても労働時間に該当すると明示しています。新入社員が、新入社員研修への不参加が認められるとは考えにくいです。つまり実質的な強制参加、業務の1つということです。 厚生労働省のこれらの説明から見ても、新入社員研修の時間が労働時間に該当することは明らかです。