久保建英や南野拓実にはない唯一無二の特徴 鎌田大地が今後の日本代表の鍵を握る訳【前園真聖コラム】
つなぎ役としては鎌田が第一人者
僕は現在の日本代表における鎌田の立場は、サッリ監督時代ほどとは思いませんが、森保一監督の全幅の信頼を勝ち得ていないのではないかと感じるのです。 2022年のカタールW杯で森保監督は全試合に鎌田を先発させました。ですが、グループリーグ第3戦のスペイン戦では後半23分で、ベスト16のクロアチア戦では後半30分で交代させています。 鎌田をチームの中心にしたけれども、なかなか効果的なプレーができなかった、あの時のイメージがあるのかもしれません。ただ、W杯の時の日本は守備を前面に出した戦いをしました。あの戦術を選択したことで、犠牲になったのが鎌田と久保だと僕は思っています。 去年から今年にかけて招集しなかったのは、チームでの出番がなかったことを考慮していたからでしょう。ですが3月19日にトゥドール監督が就任すると、3月30日のユベントス戦以降は先発を続け、5月19日、アウェーのインテル戦ではペナルティーアークから左足でゴールも奪いました。森保監督は、今回、鎌田がどれくらい調子を取り戻したのか確認したいのだと思います。 それと同時に、森保監督には「どうやって鎌田を気持ち良くプレーさせるか」という点を考えてほしいと思います。たしかにトップ下やインサイドハーフには久保、堂安律、南野拓実などほかにもいい選手がいます。ですが、センターだったらどこでもプレーできるというのは鎌田だけなのです。 それにつなぎ役として考えると、鎌田が第一人者ですし、ほかの選手に代わりは務まりません。クラブで見せているポテンシャルの高さを日本代表でも発揮できれば、中盤でのパスワークに大きな変化がもたらせるでしょうから、さらに日本代表は進化します。 鎌田は、信頼すれば期待に応えてくれる選手だというのは、トゥドール監督の起用法でもよく分かりました。今回、彼のモチベーションをどこまでアップできるのか。森保監督の手腕に期待したいと思います。 [プロフィール] 前園真聖(まえぞの・まさきよ)/1973年生まれ、鹿児島県出身。92年に鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。96年のアトランタ五輪では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」などをチームのキャプテンとして演出した。その後、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)、湘南ベルマーレの国内クラブに加え、ブラジルのサントスFCとゴイアスEC、韓国の安養LGチータースと仁川ユナイテッドの海外クラブでもプレーし、2005年5月19日に現役引退を表明。セカンドキャリアでは解説者としてメディアなどで活動しながら、「ZONOサッカースクール」を主催し、普及活動を行う。09年にはラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー日本代表に招集されて現役復帰。同年11月に開催されたUAEドバイでのワールドカップ(W杯)において、チームのベスト8に貢献した。
前園真聖 / Maezono Masakiyo