「チベット文化の百科事典」 タンカを描く青年の新たな夢
【CNS】中国沿岸部の浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)西湖区(Xihu)にある外東塢村(Waidongwu)は、村民が600人余りの小さな村だ。中国美術学院に隣接する村は、10年ほど前から自らを「芸術村」と位置づけ、村民たちは芸術家に家を貸すことを始めた。現在では、芸術家と村民との「共生」が形成され、ほぼ全世帯に芸術家が住む。その数は223人にも上っている。 この村で暮らす1990年代生まれのチベットの青年、ドゥオデン(Duo deng)さんは「8年前に杭州に来たときは、こんなに長く滞在するとは思っていませんでした。今では村でタンカを描いています。私の生活はシンプルで幸せです」と話す。 タンカ(唐卡)とは、「チベット文化の百科事典」と呼ばれるチベット独自の絵画芸術だ。2006年には、中国の国家無形文化遺産リストにも登録されている。 「私は13歳のときに先生からタンカを学び始めました。絵の具作りからキャンバスの準備を習って、人物の顔を描くようになるまで、習得のプロセスは長く厳しいものでした」。ドゥオデンさんはすでに20年以上もタンカを学んでいるという。 ドゥオデンさんが村を訪れ、ここに定住したいという話を聞いた村人たちは、快く5年契約で家を貸してくれ、歓迎宴まで開いておいしい料理をふるまってくれたという。 村では、さまざまな国籍、年齢、地域の芸術家が交流する。ドゥオデンさんは、村でカフェ「タンカ」を開店し、新たなタンカに挑戦するように。タンカの伝統を守りながらも、その作品を現代の生活様式に合わせたいと思っている。 例えば、友人の芸術家と協力して、瑠璃のお椀にタンカを描いてみた。また、タンカを描いたブレスレットなどのアクセサリーもオンラインショップで発売したところ、よく売れているという。 ドゥオデンさんは「将来的には海外で個展を開き、タンカを通じてチベット文化を知ってもらい、中国文化の多様性を感じてもらいたい」と抱負を語る。(c)CNS/JCM/AFPBB News ※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。