福士蒼汰 × 松本まりか 変わることができない人間の業の深さ 『湖の女たち』
介護施設での不審死事件を発端にした物語は、現在と少し前の過去、さらに戦時中と、思いもよらない歴史の扉を開いていきます。そこには、いつの時代にも繰り返される生産性至上主義の優生思想に基づく非道な犯罪がありました。 脚本も担当した大森監督は、「“人間”と“生産性”という二つの言葉を、どんと並べてみると、グロテスクなイメージが湧き上がってくる。それだけを手がかりにして書いていた」と話しています。“生産性”を追い求める社会の犠牲になってきた人たちがいる……過去も現在も変わらない、変わることができない人間の業の深さをつくづく思い知らされました。
登場人物の弱さと切なさ、愚かさと愛おしさ、汚れと純真……両方を持っているのが人間ですが、両面があることを忘れてはならないと、美しく静かな湖が語り掛けているようです。
「この世界は美しいのだろうか」……あなたはどう思いますか? 『湖の女たち』 5月17日(金)全国公開監督・脚本:大森立嗣 原作:吉田修一『湖の女たち』(新潮文庫刊) 2024/日本/カラー/DCP/5.1ch/シネスコ/141分 配給:東京テアトル、ヨアケ (C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会