センバツ山梨学院 第2部・支える/5 後援会会長・石垣幸俊さん 初出場の年から奔走 /山梨
<第91回選抜高校野球> ◇企業など訪ね歩き、寄付募る 山梨学院野球部の後援会は、春のセンバツや夏の甲子園が決まる度に発足する。寄付金を募り、練習に使う硬式球を差し入れて、ユニホームをそろえる。今回のセンバツは、建設会社役員の石垣幸俊さん(69)=甲州市=が会長を引き受けた。1994年春、山梨学院が初めてセンバツに出場した年も、後援会長とPTA会長を兼任した。 93年11月3日。水戸市民球場で開かれた秋の関東大会で山梨学院は優勝した。石垣さんも球場にいた。仕事の連絡をいつでも受けられるよう、ポケベルを忍ばせ、試合の行方を見守っていた。準決勝の桐蔭学園(神奈川)戦では五回に3点を先制されたが、六、七回で同点に追いつき、九回にサヨナラ勝ち。決勝は佐野日大(栃木)に15-2で快勝した。石垣さんは「感激して言葉が出なかった」と振り返る。 センバツ出場に向け寄付を募るため、仕事の合間に、100近くの個人経営の店や中小企業を1人で訪ね歩いた。「マニュアルがないから、何をどうすれば良いか分からなかった。全て手探りだった」。試合前日、バス1台にPTA役員ら約40人と一緒に乗り込み、甲子園球場に向かった。 甲子園のアルプス席に初めて座り「スタンド席に座る観客の応援する姿勢、迫力が違う」と思った。当時の県勢は甲府工、市川、東海大甲府が甲子園常連校で、山梨学院の認知度は高くなかったという。夏も含めて初めての甲子園だったため「勝てるのかというのが正直な気持ちだった」。しかし初戦で掛川西(静岡)と対戦し、一回に4点を先制して7-1で歴史的な甲子園初勝利を挙げた。 「グラウンドに立つ選手、スタンドから応援する生徒や保護者たち、一人一人の持つ力を結集させて、試合に臨んでほしい」と期待に胸を膨らませている。【金子昇太】=随時掲載<題字は3年・新井蝶結さん>