新紙幣発行まで1週間、券売機更新に「時間もお金も取られる」と悲鳴…完全キャッシュレス移行の店も
明治大の飯田泰之教授(経済政策)は「QRコード決済の導入にかかる経費が安価になっており、今回の新紙幣発行を機に決済手段の基本が、現金からキャッシュレスに逆転する可能性がある」と指摘する。
50億枚で流通準備
今回発行される新紙幣は、1万円札、5千円札、千円札。図柄は、1万円札が「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢栄一、5千円札は津田塾大創設者の津田梅子、千円札は熊本県小国町出身の細菌学者・北里柴三郎だ。
新紙幣は今年3月までで45億3000万枚が刷り上がった。その後も印刷は続いており、発行開始前の枚数は前回の刷新時(2004年)の約50億枚とほぼ同じ規模になるという。世の中に出回っている紙幣は2010年の77兆円に対し、昨年は124兆円に増えている。日本銀行は「現金の需要は根強く、誰でも、いつでも、どこでも安心して使える現金は、引き続き決済手段として大きな役割を果たすと考えられる」としている。
同町の酒蔵「河津酒造」は商機につなげようと、日本酒「北里柴三郎」を販売。発行が決まった2019年に製造を始め、今春からは新千円札を模したラベルを付けて売り出した。720ミリ・リットルで、価格は新紙幣にちなんで1000円(税抜き)。同酒造は「これを機に柴三郎のことはもちろん、日本酒も好きになってほしい」と語った。
発行日が近づくにつれて同町の「北里柴三郎記念館」の来場者も増加。記念館によると、1~5月の来館者は計1万9906人で、前年同期比2・5倍に上る。