世界最大級の愛を誓う 福岡県八女市・日向神峡にある「ハート岩」
福岡県八女市矢部村にある日向神(ひゅうがみ)峡で、火山岩が浸食されてできた巨大なハート形の岩がカップルたちに人気だ。11月22日は「いい夫婦の日」。"世界最大級”とされる「ハート岩」にまつわる話を聞いてきた。 【写真】縁結びのパワースポットに
神様もひかれた絶景
長いトンネルを抜けると、山水画のような深山の秘境が広がっている。伝承によると、その昔、宮崎・日向の神様が、この地に神馬で飛んで来て、あまりの景色のすばらしさに時を忘れて過ごしたそうだ。そこから「日向神」の名前がついたという。
この峡谷に1962年、洪水防止や農業用水確保を目的とする日向神ダムが造られた。約16キロにわたるダム湖の周囲に植えられたソメイヨシノは「千本桜」と呼ばれ、県内有数の桜の名所になっている。周辺にはキャンプ場もあり、若者や家族連れがやって来る。
縁結びのパワースポットとして話題のハート岩は、高さ220メートル、幅180メートルと圧巻のスケール。実はこの岩、奥に位置する岩肌が、手前の緑にうまく隠れることで、ハートの形に見える”仕掛け”になっている。
地元店主の"大発見"
地元では元々、大岩壁「正面岩」や、天馬が蹴って大きな穴が開いたと伝えられる「蹴洞(けほぎ)岩」が知られていた。その近くにある岩が、ハート岩と呼ばれるようになったのは15年前にさかのぼる。ダムに面した飲食店「日向神ほんだ」の店主・本田伸幸さん(76)が客と交わした何げない会話がきっかけになったようだ。
2009年のある日、庭先でまき割りをしていた本田さん。ふと対岸に目を向けると、奇岩の一つがハートの形に見えることに気付いた。店を訪れた客に軽い気持ちで、この岩のことを話してみた。窓の外に視線を移した客は「本当だ!」と驚き、口コミで共感が広がっていった。
「恋人たちの聖地」に
当時、地域おこしのアイデアを思案していた地元商工会の若手たち。PRの財源もない中、降ってわいてきたホットな話題。聞きつけたメンバーたちは、さっそくハート岩に飛びついた。