5集落の農地集約へ 団地化めざし耕作状況、地図に 鹿児島県阿久根市
県、市、JA部会が協力
鹿児島県と阿久根市、JA鹿児島いずみでつくる園芸振興協議会豆類専門部会は、市内5集落の生産者協力の下、農地の状況を地図にまとめ、耕作放棄地の活用や団地化の検討を進めている。農家や地権者らへのアンケートで地区内のほぼ全ての農地の営農状況や今後の経営の意向を把握。農地中間管理機構(農地バンク)を通して農地の集約などを進める計画だ。 2021年に「明日の農業を語る会」を設立。県内でも有数の実エンドウ産地であるが、耕作放棄地の拡大が進む黒之浜・深田・大谷・槝之浦・黒之上の5集落で取り組んだ。 21年7月から、豆類生産者の代表8人と耕作者不明地の調査を開始。23年にかけて、地区ごとに地権者や農家ら197人を対象に3回のアンケートも行った。初回アンケートで農地の約6割の利用状況が分かった。その後、複数回の調査や訪問活動、地域のリーダー役の農家への聞き取りなどを重ね、地域の約55ヘクタールほぼ全ての農地の状況を地図化した。 アンケートでは、ジャガイモやブロッコリー、サツマイモなど栽培が機械化された品目で規模を拡大したい農家が多かった。一方、主力の豆類では、規模縮小を計画する農家が多いことも分かった。農地の維持には担い手の規模拡大に加え、他地域の意欲ある農家を含めた地域への新規参入が将来的に必要との結論に至った。
「地域計画」策定にも活用
実エンドウなどを約4ヘクタールで栽培する鳥島弘樹さん(53)は「耕作放棄地は、病害虫の増加にもつながるので団地化を進めるのが重要。情報共有がしやすくなり、作業の効率化にもつながる」と話す。 作成した地図は、地域の農地の未来を描く「地域計画」の策定にも活用し、市内でのモデルとする。阿久根市農政林務課の新澤章一農業専門指導員は「同地区にとって、少しでも負担の少ない形で取り組みを進めていきたい」とする。25年の夏には農地バンクの活用を図る総会を開き、団地化や農道の整備、水源の確保などを進める。 定期的に開く代表者会では、土地持ち農家以外の農地流動化への協議や、契約栽培のオクラと豆類などを組み合わせて収益が見込める所得向上の品目を示した経営モデルも提案している。JAの大野泰誉指導員は「当集落以外でも、管内の放棄地が意欲ある生産者に活用してもらえるような仕組みをつくりたい」と話す。
日本農業新聞