「富士山×ローソン」問題 全長20mの黒幕で“無期限封鎖”が示す、オーバーツーリズムの深刻度
全国の観光地に迫りくるオーバーツーリズム問題
今回、同町は、当該エリアを“封鎖”したが、富士山を背景に抱える同町には代わるスポットが多数あり、今後、第二のローソン問題も発生しかねない…。 さらにいえば、かつてないインバウンド需要であふれかえる他の観光地も同様の判断を余儀なくされている実情がある。 JNTO(日本政府観光局)が5月15日に公表した訪日外客数の4月の推計値は304万2900人と前年同月比で56.1%増、2019年同月比とは4.0%増を記録。単月で300万人を超えるのは1964年の統計開始以降、先月とともに過去最多となっている。
通行禁止や有料化などで対策の観光地も
こうした押し寄せる外国人観光客による、現地の生活に支障をきたすオーバーツーリズム対策への具体的な動きもある。 京都は祇園の一部私道を通行禁止にしている。富士山は7月1日の山開きにあわせ、一人2000円の通行料支払い義務と1日の登山者数の上限を設けるなどを含む条例を議会で可決している。 もはや手放しで外国人観光客を歓迎するには、無理があるほど、オーバーツーリズム問題は深刻化しつつある。 前出の担当者が続ける。 「今回の措置をいつまで続けるのかはまだ不透明です。(黒幕を設置したことで)マナーが改善するのかどうか? その基準も決まっていませんので観察しながら決めていきたいと思います」 円安も相まって空前のインバウンド需要に沸く観光大国日本。外貨によって経済が潤うことは歓迎だが、その負の側面についても真剣に考えざるを得ない時期が来たようだ。
弁護士JP編集部