大分県・国東半島の天台宗寺院や岩屋「六郷山」が国史跡に…神仏習合の歴史伝える
国の文化審議会が24日に行った答申で、大分県・国東半島に点在する約100か所の天台宗寺院や岩屋のうち4か所が「六郷山」(国東市、豊後高田市)として国史跡に指定される見通しとなった。古代から中世の信仰のあり方を理解する上で代表的な存在だと評価された。指定されれば、国史跡としては県内で47か所目となる。 【写真】天念寺と同じ岩屋に建てられた神社
豊後高田市教育委員会などによると、近世以降、「六郷満山」の名称で広く呼ばれている。12~15世紀に半島全域に広がり、現在につながる集落景観の基礎ができた。
今回答申されたのは、六郷山の中でも特に昔ながらの景観や資料などが残る同市の長安寺、天念寺、夷岩屋と、国東市の岩戸寺の4か所。いずれも12世紀前半に成立し、指定面積は約8万7100平方メートルに及ぶ。
岩屋は岩壁にできた洞穴で、僧侶の修行の場となり、張り付くように寺院が形成された。天念寺は約20メートルの長さの岩屋に講堂や神社が並び、神仏習合の歴史もよく伝えている。
豊後高田市教委文化財室の岩男真吾主幹(50)は「六郷山という名前で指定されれば、ほかの多くの寺も注目される。寺ごとに特徴があり、地元住民にも改めて価値を知ってもらいたい」と話した。
また、大分市の国史跡「大友氏遺跡」と「里官衙遺跡」の区域を、それぞれ約9万8400平方メートルと約7600平方メートルに広げる追加指定をするよう答申。国特別史跡の「臼杵磨崖仏 附日吉塔 嘉応二年在銘五輪塔 承安二年在銘五輪塔」(臼杵市)についても、仏像が彫られた母岩の一部や、古園石仏の前庭部にある中世仏堂遺構(約510平方メートル)の追加指定を求めた。総面積は計約5600平方メートルとなる。