対中半導体輸出規制、バイデン米政権が日本やオランダに強化迫る
(ブルームバーグ): 米政府は日本やオランダ、ドイツ、韓国を含む同盟国に対し、中国による半導体技術へのアクセスを制限する措置を一段と強化するよう迫っている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、米国の取り組みに一部の国は抵抗している。
バイデン政権は、国産半導体の製造能力を中国が構築するのを遅らせるため、過去2年間にわたって輸出規制を導入してきた。協議の非公開を理由に同関係者が匿名で語ったところによれば、今回の同政権の動きはそうした輸出規制の抜け穴をふさぐことが狙い。
米国はオランダに対し、中国の顧客が購入したASMLホールディングの半導体製造装置について、同社によるサービスや修理の提供を停止させるよう求めている。これら装置は販売制限措置が今年実施される前に購入されたという。
米国はさらに、フォトレジストなど半導体製造に不可欠な特殊材料の対中輸出を日本企業が制限することを求めている。フォトレジストの主要メーカーには、日本のJSRや信越化学工業が含まれる。
一部の関係者によれば、日本とオランダは、米政府からの最近の働きかけに対し、より厳しい措置を検討する前に現在の規制の効果を見極めたいと主張した。関係者1人によると、米商務省の当局者は先月東京で開かれた輸出規制に関する会議でこの問題を提起した。
ASMLとオランダ貿易省、日本の経済産業省の担当者はコメントを控えた。米国家安全保障会議(NSC)もコメントを避け、米商務省はコメントの要請に応じなかった。
バイデン政権は、中国の半導体産業に狙いを定め、先端半導体製造装置や人工知能(AI)に使われる高機能半導体の輸出を制限する措置を2022年から導入。昨年、この取り組みに半導体製造装置の主要メーカーを抱える日本とオランダを取り込んだ。
だが、修理や半導体製造装置に使用される予備部品に関連し、抜け穴がなお残っている。中国の華為技術(ファーウェイ)が昨年8月、国産半導体を搭載したスマートフォンを発表したことに米当局者は衝撃を受けた。米国は中国の半導体開発を一定の水準から前進させないよう取り組んできたが、ファーウェイのスマホに搭載された半導体は、その段階よりも一世代以上先に進んでいた。