函館が舞台の小説「ねこの湯、営業中です!」朗読公演 読み手3人で演じ分け
函館を舞台にした小説「ねこの湯、営業中です! 函館あやかし物語」を3人の読み手が朗読する「ドラマリーディング」公演が12月8日、函館市青年センター(函館市千代台町)で開催される。(函館経済新聞) 【写真】「ねこの湯、営業中です! 函館あやかし物語」ドラマリーディング公演のチラシ 函館の劇団「だいたい企画」代表の林佐和子さんが主催する同公演。林さんは昨年、卵巣がんが見つかり、「治療が終わったら何か楽しいことをしたい」と考えながら手術と抗がん剤治療に向き合ってきたという。現在は経過観察中で、「心身ともに新たなスタートを切ろう」と決意し、今回の公演を決めた。10~20代は声優を目指していたことから、自身の原点に返り、声で演技する朗読公演とした。 林さんのほか、同劇団に所属する山本彩さんと、朗読ソロユニット「マイストーリートルテ」主宰の米谷志緒さんが出演。明治~昭和初期の文豪の文学作品から函館ゆかりの作家の小説までさまざまな候補を検討し、「3人で読み合わせをしたら一番しっくりきた」という、道南在住の作家、南野雪花さんの小説「ねこの湯、営業中です!」を朗読作品に選んだ。 同作品は、現代の函館と近隣の町を舞台に、祖父が遺(のこ)した銭湯を継いだ主人公・みゆりと仲間たちの奮闘ぶりを描く娯楽小説。実在の場所や店などが数多く登場する。今回は、プロローグと第1章を朗読。林さんはみゆり、山本さんは猫又(ねこまた)のさくらなど、米谷さんはアイヌに伝わるあやかし「ミントゥチ」などを、いずれも役に合わせた衣装とメークで演じる。語りの部分は3人が交代で読む。 自身の公演では、古い文学作品を中心に朗読しているという米谷さん。「普段自分では選ばないジャンルの作品なので、とても楽しみ。語りとせりふが極端に違うのが朗読の面白さなので、今回の作品でそれをどう表現しようか模索しつつ稽古している」と話す。林さんも「観光地としてではない函館が数多く描写されているので、地元の皆さんに楽しんでもらえるのでは。作者の南野さんも来場するので、本を持っている人は持参してもらえたら」と来場を呼びかける。南野さんも「みゆりやさくらに、命(声)が吹き込まれるのが楽しみ。普段着の函館で繰り広げられるあやかしたちの物語を、ぜひ楽しんでほしい」と呼びかける。 13時30分開場、14時開演。入場無料だが、ウェブでの予約が必須。
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