「オープンカー」はやっぱり魅力的! ミニ・クーパー S コンバーチブルへ試乗 当面エンジン版のみ
ハッチバックに迫る機敏な操縦性 足は硬め
クーパー S コンバーチブルを発進させてみれば、ハッチバックのクーパー Sに迫る、機敏な操縦性がしっかり継承されているのは明白。ステアリングはダイレクトに反応し、小気味よくフロントノーズの向きを変えていける。 より重いことは実感するものの、遥かに車重があるバッテリーEVが一般化しつつある時代だから、充分な軽快さを感じる。気になる車重は、1455kgだ。 サスペンションは、ハッチバックより硬め。穏やかに流すような速度域では、路面の凹凸を拾い、キャビンへ強めの衝撃が届いていた。 2.0Lターボエンジンは、扱いやすくパワフル。濡れた路面で一気に右足へ力を込めると、ホイールスピン仕掛ける瞬間も。アクセルペダルの操作へ即座に応え、7速デュアルクラッチATとの連携性も良好だった。 雨の合間を見て試した、オープンドライブの開放感は期待通り。ウインドウディフレクターが備わり、前席へ座っている限り、走行中の風の流入は巧みに抑えられていた。
後席はハッチバックより広い 魅力的な1台
インテリアは、最新世代のミニ。ダッシュボードの中央に、真円のタッチモニターが鎮座する。操作性が理想的、というわけではないものの、視覚的な充足感は高い。 モニターのグラフィックはポップ。スマートな内装のデザインと明るいカラーコーディネートが相まって、ソフトトップを閉めた雨の日でも、車内の雰囲気は快活だ。 ソフトトップの設計は巧妙で、実はコンバーチブルの後席側の空間は、ハッチバックより僅かに広い。走行中でも30km/h以下なら開閉でき、所要時間は18秒。タルガトップのように、部分的に開くことも可能だ。ただし、後席へのアクセス性は良くないが。 荷室の容量は、クローズ状態で215L。これも、ハッチバックのクーパーより少し広い。オープン時は、折りたたまれたソフトトップに侵食され、160Lへ狭まる。 オシャレな見た目で、活発な走りを楽しめる小さなコンバーチブルは、やはり魅力的。サスペンションは硬く、ハッチバックのクーパー S級に鋭い走りというわけではないものの、大空を我が物にしたような爽快感はそれを補う。 このクラスのライバルは、極めて少ない。ひと回り小さな、フィアット500 C程度。クーパー S コンバーチブルへ一度乗れば、気に入る人は少なくないはず。雨がちな、グレートブリテン島の住人でも。
ミニ・クーパー S コンバーチブル(北米仕様)のスペック
英国価格:3万1450ポンド(約613万円) 全長:3876mm 全幅:1744mm 全高:1432mm 最高速度:230km/h 0-100km/h加速:6.9秒 燃費:15.2km/L CO2排出量:149g/km 車両重量:1455kg パワートレイン:直列4気筒1998cc ターボチャージャー 使用燃料:ガソリン 最高出力:203ps/5000-6500rpm 最大トルク:30.4kg-m/1450-4500rpm ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)
ジェームス・アトウッド(執筆) 中嶋健治(翻訳)