【新紙幣の偉人】一万円札の肖像となった渋沢栄一 東京海上日動やKDDIなど500強の会社の設立にかかわった“日本資本主義の父”のゆかりの地
約20年ぶりとなる新紙幣が7月3日から発行される。一万円札の「新たな顔」となるのは、渋沢栄一だ。名前は知っているけれど、実はどんな人かよく知らない。そんな人のために、渋沢栄一の足跡を改めて解説するとともに、縁の地を紹介する。 【写真】東京・江東区にある「旧渋沢邸」。埼玉・深谷市には渋沢栄一記念館も
【日本資本主義の父】渋沢栄一(1840~1931) の軌跡
●一橋家に仕え、手腕を発揮 25才で一橋慶喜に仕え、財政改善に成果を挙げる。 ●新しい国づくりにかかわる 帰国後、租税・貨幣・郵便制度の導入などにおいて辣腕を振るった。 ●企業の創設・育成に携わる 500強の会社の設立や、600もの社会公共事業にかかわった
渋沢が設立にかかわった会社の数々
●東京海上日動 日本を代表する損保会社。1879年の前身会社設立時は相談役だったが、経営危機に陥った際は取締役に就任し、経営再建に努めた。 ●KDDI 栄一が設立した日本無線電信がはじまり。その後、国際電話と合併し国際電気通信に。そして現在のKDDIへとつながっていく。 ●みずほ銀行 1873年、栄一が第一国立銀行として設立した日本最古の銀行および株式会社。合併の末、「第一勧業銀行」などの名称を経て、2013年に現在の「みずほ銀行」に改名した。 ●ENEOS 栄一が発起人として携わった越後長岡地方の北越石油などの流れを汲んでいる。国内トップシェアの総合エネルギー企業へと成長し、売上高は15兆円を超える。
渋沢栄一ゆかりの地を歩く
●旧渋沢邸(東京・江東区) 清水建設の二代清水喜助が設計した渋沢家邸宅を、最新の建築技術を用いて修繕・移築。140余年の時を経て江東区に戻った。今後予定されている一般公開も待ち遠しい。 【住所】東京都江東区潮見2-8-20(温故創新の森NOVARE内。京葉線「潮見」駅徒歩3分) ●渋沢栄一記念館(埼玉・深谷市) 幕末~明治~大正~昭和の4つの時代を駆け抜けた栄一の足跡と功績を展示。講義室では現役時代の栄一の風貌と声をリアルに再現したアンドロイドによる講義を見学できる(要事前予約)。 【住所】埼玉県深谷市下手計1204 【営業時間】09:00~17:00 【定休日】年末年始 【料金】入場料無料 ●浮月楼 徳川慶喜公屋敷跡(静岡・静岡市) 慶喜が20年以上も暮らし、歴史の舞台となった場所。栄一が大政奉還後、徳川慶喜に用意した屋敷で、経済団体「商法会所」もここで創立された。現在は懐石料理が楽しめる料亭で、歴史品の展示もある。 【住所】静岡県静岡市葵区紺屋町11-1 ●日本橋兜町「K5」(東京・中央区) 銀行発祥の地に誕生。新たな文化を発信する複合施設。2020年2月、栄一が開業した第一国立銀行の別館をリノベーションしてオープン。最先端のレストラン、バー、カフェに加え、ホテルが入居する。 【住所】東京都中央区日本橋兜町3-5 取材・文/川口ユウ イラスト/カツヤマケイコ ※女性セブン2024年7月11・18日号