「正捕手移籍」はチームの低迷を招くのか!? 過去には順位急落チームも…気になるSB甲斐の去就
ストーブリーグが本格化する中、今季FA市場で注目されているのがソフトバンクの甲斐 拓也捕手(楊志館)。自慢の強肩でWBC戦士として世界一にも貢献した球界を代表する捕手の一人だ。チームを数多の勝利に導いてきた経験値も評価され、現在は巨人が獲得に乗り出していると報道されている。 【15日までの戦力外・引退・移籍リスト】 捕手は投手とのコミュニケーションや配球など、他のポジションに比べて負担も大きく、若手の育成や世代交代が難しいとされる。ゆえに扇の要として長らくチームを支えた選手の移籍はその後の順位に大きな影響を与えかねない。 その最たる例が谷繁 元信捕手(江の川=現・石見智翠館)の移籍だ。2001年にFA権を行使して横浜から中日へと場所を移した。すると横浜は前年度まで5年連続でAクラス入りを果たしていたが、翌02年は優勝した巨人に35.5ゲーム、5位広島にも14.5ゲーム差をつけられて最下位。その後も3年連続最下位を経験するなど、チームは苦しい時期を過ごしている。一方の谷繁は落合 博満政権下でチームを支え続け、現役終盤には選手権監督も経験。球界を代表する名捕手として名を残している。 近年では西武の森 友哉捕手(大阪桐蔭)が印象的だ。西武時代に3度のベストナインを受賞し、リーグ連覇に大きく貢献。22年オフにオリックスに移籍すると、移籍一年目で自身4度目のベストナインに選出され、リーグ3連覇を支えた。一方の西武は森以外にも山川 穂高内野手(中部商―富士大)の移籍も大きく影響し、23年に5位、24年には最下位と苦しい状況が続いている。 他にも今季までオリックスを指揮した中嶋 聡氏も97年オフにFA権を行使してオリックスから西武に移籍している。翌年オリックスは2位から一つ順位を下げて3位に。その後も11年連続で継続していたAクラス入りが途絶え、02年からは3年連続で最下位を経験している。 仮に甲斐が移籍した場合、海野 隆司捕手(関西―東海大)を筆頭に若手の有望株も控えるが、経験値の面では痛手となるのは間違いない。そういった意味では嶺井 博希捕手(沖縄尚学―亜細亜大)の経験値も大きな力になるだろう。甲斐の決断は、今季圧倒的な強さでパ・リーグを制したソフトバンクの今後を左右することとなる。