セブン&アイHDがイトーヨーカ堂を上場へ 消費者に影響は?【WBS】
セブン&アイ・ホールディングスは子会社のスーパー大手イトーヨーカ堂を中核とするスーパー事業を分離させ、2027年度以降に株式を新規に上場させる方針を発表しました。消費者にはどんな影響があるのでしょうか。 記者会見会場にはセブン&アイHDの井阪隆一社長に加え、イトーヨーカ堂の山本哲也社長も出席しました。 そこで井阪社長は「現実的に最速のタイミングで、スーパーマーケット事業の株式公開化に向けた検討を開始する。その結果、独自の財務規律の下で成長戦略を強化する体制への移行を果たせる」と、イトーヨーカ堂を中心とするスーパーマーケット事業を最速のタイミングで上場させる方針と発表しました。 ただ株式の一部保有は継続し、食品開発の分野で引き続き協力を続けるとしました。上々の時期については現在、中期経営計画で掲げているイトーヨーカ堂の2026年2月期までの黒字化を達成した後、2027年度以降としています。 「これまでも痛みを伴う構造改革をやってきた。今は何合目」(豊島晋作キャスター) 「6合目~7合目くらいまでは行けるのではないかという手応えがある。2024年度は社内的にも変えて成長に対する成果を出していく」(イトーヨーカ堂の山本哲也社長)
セブン&アイHDの純利益は右肩上がりで伸びていますが、そのほとんどがコンビニ事業で得たものです。グループの好調と対照的に、イトーヨーカ堂は近年、赤字の年が頻発。10日発表した決算では4年連続の最終赤字となるなど、グループの足を引っ張ってきました。 セブン&アイは立て直しに向けてイトーヨーカ堂を来年度までに33店舗閉店するほか、アパレル事業からも撤退する方針を発表。さらに大規模なリストラを行う方針で痛みを伴う改革を進めていました。 改革を進めた背景には、大株主だった投資ファンドの存在もあります。アメリカの投資ファンド「バリューアクト」はスーパーマーケット事業を売却し、コンビニ事業に経営資源を集中するよう迫っていました。 「以前からスーパー事業の切り離しを求める声が外部の投資家から上がっていた。スピード感を持った決断があるべきだったのでは」(豊島キャスター) 「スピード感についてSST(スーパーマーケット)事業の切り離しを確かに指摘を受けてきたが、セブン-イレブン・ジャパンの成長を支えているのは、SST事業との食の連携であると言ってきた」(セブン&アイHDの井阪隆一社長) 今回イトーヨーカ堂をグループ企業に残す考えを示した井阪社長。株の持分比率はどうなるのでしょうか。 「シナジーが創出できるぐらいのパーセンテージでないといけない。15%未満ではダメだと思う」(井阪社長) 「保有率は当然51%にはこだわらない?」(豊島キャスター) 「はい、そうです」(井阪社長) 小売に詳しいUBS証券の風早隆弘さんは今回の方針について「IPO(新規上場)を選択肢として真剣に考えることになるので、自分たちで独り立ちをして成長戦略を描き投資資金を捻出する。ヨーカー堂にとっては独り立ちしなさいと言われ、緊張感を持つタイミングになった」と話します。 一方、イトーヨーカ堂の独立性を高めることで、今後セブン&アイとしてはメリットがあるといいます。 「コンビニであげられた利益を、コンビニに集中して使えることになる」(風早さん) 経営資源をセブン-イレブンに集中し、更なる魅力向上に資金を使えるといいます。 コンビニの競合他社からは早速こんな声が上がっています。 「セブン&アイさんはコンビ二に集中するということで非常に怖いなと。日本でも非常に非常に難しい戦いが激化していく」(ファミリーマートの細見研介社長)