震災発生で笑いは封印!? 災害時にお笑い芸人はどうあるべきなのか
熊本県を震源とする大地震により、熊本、大分を中心に大きな被害が出ている。余震がいまだに続く現地には、ボランティアも駆けつけ、被災者に寄り沿う姿も見られる。 芸能界でも、熊本出身のタレントをはじめ多くの芸能人が物資の差し入れや炊き出しに参加したり、募金をしたり、義援金を募ったりとさまざまな形で被災地の支援を行っている。 その一方で、被災者が悲しみに暮れているのを見て、自分たちの“存在価値”や“役割”についてジレンマに陥るお笑い芸人も少なくない。
被災者に笑いは必要なのか? たけし、さんまの葛藤
熊本地震を受けて、タレント・明石家さんまは、 「ホンマに落ち込んでいる人に対して笑いは必要なのかどうか……」と、ラジオ番組で胸中を明かしている。 また、さんまとともに長年お笑い界の第一線で活躍し続けているビートたけしは、かつて東日本大震災の直後、 「“被災地に笑いを”なんて言うヤツがいるけど、今まさに苦しみの渦中にある人に笑いで励まそうなんていうのは戯言でしかない」と語った。 大きな不幸を前にどのように向き合えばいいのか、笑いを生業(なりわい)とする芸人たちにとっては非常に悩ましいところだろう。
高い評価を受けた伊集院光の対応
タレント・伊集院光は今月18日に放送されたラジオ番組「伊集院光 深夜の馬鹿力」で番組冒頭に、 「まあ迷うね、そして弱るね」、「福岡の放送局がネットしてくれていて。これ、九州でも聴こえる。ごめんなさい、言い訳をしてから入ろうか……」と同番組が九州でも放送されることに言及。 そのうえで、「震災の被害に遭われている方、お見舞い申し上げます」や「何を言っても、その場所にいる人間じゃないからね。(腹が)立つ人は腹立つだろうし」と被災者を気遣いつつ、「今日もこの後、ふざけますんで」、「『ふざけるの、今はちょっとダメ』って人は聴かない方がいいかも」とあえて自身の番組を聴かないという選択をリスナーに提示した。 さらに、番組の途中で震災関連のニュースが入ることにも触れると、 「それ以外は基本、ちょっとふざけることを許して頂きつつ、番組を始めたいと思います」と語った。 こうした伊集院の被災者を気遣いつつも、芸人としての本分を全うする態度は、インターネット上など何かと厳しい視線が向けられやすい震災発生時の芸能人の対応の中でも、高い評価を受けた。