アートを愛するカップルがマヨルカ島の別荘で挙げた、スモールラグジュアリーな結婚式
「いつも、僕らはここで結婚するだろうと思っていました」と語るアンリ・ノイエンドルフさんが指している“ここ”とは、今夏モリー・クラウスさんと結婚の誓いを交わした、マヨルカ島の印象的なピンクのモダニズム建築のこと。1986年に、アンリさんの両親であるハンスさんとキャロラインさんが、建築家のジョン・ポーソンとクラウディオ・シルバーストリンに依頼して、家族の別荘として建てたものです(ハンスさんは、かつてはデイヴィッド・ホックニー、サイ・トゥオンブリー、ルーチョ・フォンタナの代理人を独占的に務めていたドイツ人アートディーラー。アート販売サイトArtnetの創設者でもあります)。 建物の一室には、今もノイエンドルフ家の子どもたちの身長が彫ってあります。「生まれてからずっと、毎年夏にはあそこに行っていました。引っ越しが多かった僕にとって、この家は常に変わらない"家"でした」とアンリさん。
父親のノーマン・クラウスさんにエスコートされてバージン・ロードを歩くモリーさん。 この家が完璧な結婚式会場となったのは、子ども時代の思い出のためだけではありません。モリーさんとアンリさんを結びつけたのは、アート(ふたりは2016年に行われた世界最大級のアートフェア、アートバーゼル・マイアミビーチで出会いました)であり、それはふたりのキャリアでもあります。モリーさんはライフスタイル・パブリシストで、アンリさんはアートディーラー。つまり美的なもので結びついたふたりが、気持ちの上でも美意識の観点でも、結婚式にふさわしいと感じられる場所がここだったのです。 また、結婚式が行われた週末中、スペインらしい要素もたっぷりと盛り込んだそう。「その最たるものは食事でした」とモリーさん。「初日の夜は、大鍋で作ったパエリアディナーを楽しみました」
ハンドメイドの扇で、地中海の熱気を冷まして。 翌日の結婚式では、花嫁は「子どもの頃、日記に描いた」ドレスをイメージしたカスタムメイド・ドレスを、花婿はビスポークのネイビースーツを着用。 ディナーには、生魚のカナッペやキャヴィア、イベリコ豚の生ハム、スズキの蒸し煮、ウエディング・ケーキには、マヨルカ島パルマの有名なベーカリー、ルイス・ペレス・パティシエのアーモンドケーキなど、地元の豊かな食材を使った食事が供されたのだとか。また、ゲストは、バレンシアにある会社で作られた伝統的な扇を二つずつ贈られ、一つはユダヤ教式のセレモニーの説明が書かれたハンドメイドのペーパープログラムの上に、もう一つは、ディナーのプレースセッティングの上に置かれたのだそう。
ノイエンドルフ家のプールで休憩時間を楽しむゲストたち。 その後は、ダンスタイム。新郎新婦にとって楽しい時間だったのはもちろん、友人たちがテクノに合わせてラインダンスを踊ろうとする姿を見て、モリーさんは特に嬉しかったとのこと。 そうした饗宴とともにゲストが楽しんだのは、この家のプールでくつろいだり、植物を探索したりすること。ふたりの長年の友人であるイアン・マローンさんの言葉を借りれば、「人目を引くこの建築が、アートを心から大切にする花嫁と花婿にとっての完璧なキャンバスを提供した」そうです。
Translation: mayuko akimoto From TOWN&COUNTRY