「不明」並ぶ収支報告書、世耕氏団体は13か所…調査や書類押収を理由に「説明責任果たさず」
総務省が29日公表した2023年分の政治資金収支報告書では、自民党派閥を巡る政治資金規正法違反事件を受け、旧安倍派の所属議員らの政治団体で収支などを「不明」とする記述が相次いだ。このほか、収入などの記載漏れも多く確認された。事件を受けてもなお、不明朗な会計処理が後をたたない。
<収入総額 不明><前年からの繰越額 不明><支出総額 不明>――。
かつて自民党参院幹事長を務め、旧安倍派で「5人衆」と呼ばれる幹部だった世耕弘成衆院議員(和歌山2区)。その資金管理団体「紀成会」の収支報告書には、冒頭から「不明」の文字が並んだ。個々の項目でも「領収書を紛失した」として贈答品などの名目の支出額を不明とするなど、全体では13か所に及んでいた。
同会は派閥から政治資金パーティー収入の一部を還流され、2022年までの5年間で計1542万円が不記載だった。22年分までの収支報告書を訂正したが、「収入や支出の一部に金額・日付不明などがあり、調査している」との理由で、収支の総額などはいずれも「不明」に。世耕氏は今年3月の参院政治倫理審査会で、「支出約60万円の領収書が見つからなかった。繰越残高が不明となり、(他項目も)玉突きで不明となってしまった」と釈明した。
それから約8か月。世耕氏は離党勧告を受け、くら替え出馬した10月の衆院選で当選したが、収支報告書の「不明」は解消されないままだ。世耕氏は29日、取材に対し、約60万円分の領収書は見つかっていないとした上で、「だから総額を不明とせざるを得ない。それでも大半は判明している」などと答えた。
高額の還流を受け、同法違反で起訴・在宅起訴された議員側などにも不透明な記載が目立った。不記載額が約5100万円の大野泰正参院議員や、約4800万円の池田佳隆・前衆院議員の資金管理団体は、収支の総額に加え、支出の内訳を全て「不明」と記載。いずれも「関係書類が押収されているため」としている。