台湾の代表的画家の油絵、防府市が展覧会貸し出しへ 孫から依頼
台湾を代表する画家だった陳澄波(チェンチェンポー)の孫の陳立栢(チェンリーボー)さん(71)が17日、山口県立美術館(山口市)を訪れ、県とゆかりのある陳の油絵「東台湾臨海道路」の貸し出しを依頼した。陳の生誕130年を記念し、年末に台湾で始まる展覧会で紹介するためで、この絵を所有する防府市は貸し出す意向を示した。 【写真】「東台湾臨海道路」と陳立栢さん=2024年6月17日、山口市亀山町の山口県立美術館、大室一也撮影 陳は、日本による台湾統治が始まった1895年、台湾の嘉義市で生まれた。東京美術学校(現在の東京芸術大学)で西洋画を学び、台湾出身の画家としては初めて帝展で入選し、卒業後は上海でも活動した。 しかし、終戦後に日本に代わって台湾を統治した国民党が民衆を弾圧した1947年の「二・二八事件」のさなか、市民を代表して交渉に赴いた陳は拘束され、公開処刑された。 「東台湾臨海道路」は、26~28年に台湾総督を務めた防府市出身の上山満之進(1869~1938)が離任する際、陳に依頼して制作してもらった作品だ。上山が建設に関与した道路や先住民が描かれている。
朝日新聞社