「地下」から目指す頂点、反復の重なりが笑いに お笑いコンビ・ランジャタイ
テレビ出演や芸能事務所のサポートと縁の薄い地下芸人出身のお笑いコンビ「ランジャタイ」。2021年のM―1グランプリ決勝進出をきっかけに浸透度が増し、カルトなファン層を形成。メンバーの伊藤幸司と国崎和也がそれぞれ初の著書を出版するなど活動の場を広げている。2人は何を目指すのか。(共同通信=中村彰、敬称略) ▽お笑い界で高評価 M―1決勝進出で伊藤は手応えをつかんだ。決勝進出のアナウンスで「ふらっと気を失いかけた。これが夢がかなう瞬間かという感じ、最高の瞬間でした」。 10組で競った決勝では「すごく楽しくやれて受けも良かった」と振り返るが、結果は「驚きの最下位」。 7人の審査員の中で立川志らくだけが96点と高く評価。ランジャタイの漫才を「イリュージョン」と評し、独演会のゲストに呼ぶなど親交が続いている。 業界内でもランジャタイを称賛する声は少なくない。千鳥の大悟は「ランジャタイはわしの憧れじゃ」と公言する。
伊藤は1985年、鳥取県生まれ。国崎は87年富山県生まれ。2人は吉本興業の養成所・吉本総合芸能学院(NSC)で出会い、2007年にコンビを組んだ。 ランジャタイのネタの特徴の一つが同じことをしつこく、しつこく反復すること。たとえば、国崎がウッチャンナンチャンのお面を掲げ「ウッチャンナンチャン、ウッチャンナンチャン、ウッチャンナンチャーン」と延々と歌い踊る。最初は「なんだこれは?」と当惑するが、反復のしつこさが忍び笑いから爆笑に変わる。 ダイアンの津田篤宏とのコラボでは津田の持ちネタ「ゴイゴイスー」をアレンジ、津田に「ゴイゴイ、スーススー」と長時間、歌い踊らせた。 5月のネット配信番組では23分間にわたり国崎は同じ動きを繰り返した。MCのアルコ&ピース・平子祐希があきれ果てて「おい伊藤、なんとかしろ」と呼びかけたが、伊藤はわれ関せず。番組の枠を使い切った。 「うんざりされるのが好き、『何なんだよ、こいつ』みたいなのが」と国崎。これがはまる人にはピタリとはまる。特に子どもたちからの人気が高く、子どもや赤ちゃんがまねをする動画が送られてきたり、電車の中で「ゴイゴイ、スーススー」と歌う母子を見かけたりしたという。