「ウインターカップの申し子」田臥勇太が達成した高校9冠と冬の3連覇
■9冠達成のプレッシャーはいかに
世間から注目されるほどのフィーバーを巻き起こしたなかで「勝ち続けることは相当のプレッシャーだったのでは?」と、プロ選手になってから質問をしたことがある。そのとき、田臥はこう答えている。 「能代工業というチームは僕が入学する前から強くて伝統があるチームでしたし、能代の街をあげて応援してくれたので、絶対に負けられない責任感は年々強くなっていきました」 「ただ、それがプレッシャーになることはあまりなかったです。能代って本当に田舎で、ひたすら練習に打ち込める環境なんです。僕が高校生の頃って、今のようなSNSがない時代だったので、田舎で生活をしていると、そこまで人気があるとは感じなかったですし、他のチームの情報も今のように入ってきませんでしたから。試合会場で満員のお客さんを見て『すごいな、注目されているな』とは思いましたが、それがプレッシャーになったことはありません。応援してもらうことが本当にありがたかったです」 田臥勇太と能代工業が獲得した「9冠」の記録は、時代が流れた今もなお色褪せることのない偉業として、高校バスケ史に燦然と輝いている。 文=小永吉陽子
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