イチローは打率1割台。メジャーで今季35歳以上ベテランが大スランプ現象
今季、メジャーリーグでは、35歳以上のベテランプレーヤーが、これまでのシーズンに比べて前例のないほど不振に陥っている。統計やデータ分析を得意とする新興のニュースウェブサイト「ザ・リンガー」が、その実態と、理由について報じた。ザ・リンガーは「メジャーリーグは中年の危機を抱えている」というタイトルで、「35歳以上の選手が前例のない割合で不振に落ちっている。なぜなのか、選手たちは巻き返すことができるのか」という文章を加えている。 ザ・リンガーが分析に使用したのはWARというセイバーメトリクスを使った野球選手の総合評価指標。平均以下の選手(控えレベルなどの代替選手)に比べて、その選手が野手の場合は、得点や失点、守備率、投手の場合は、失点率や勝利数などで、どれだけのチーム貢献をしたかを独自手法で数値化したもの。 今回、同サイトでは、メジャーの35歳以上の全選手のWARを算出。メジャー全選手のWAR(勝利数の上積み)のなかで、35歳以上の全選手のWAR(勝利数の上積み)の占める割合を調べた。WARにはマイナスの数字もあるため、なんとマイナス0.6%だったという。2000年代に入ってからは、35歳以上の選手のWARが、全選手に占める割合は最高で10%以上あり、メジャーリーグ史では平均で7、8%の範囲内だったというから、不振の度合いがよくわかる。同メディアは、「今シーズンは1960年代以来のベテラン選手不振のシーズンだ」と紹介した。 「ベテランの今季の落伍者のなかには、オールスター選手、シルバースラッガー賞受賞、本塁打王、MVP受賞者といった面々が含まれている」と、何人かの選手がピックアップされたが、その中には、WARがマイナス0.4の43歳、イチローの名前があった。 「イチローは少しずつ衰え、打率はサブ・メンドーサライン(野手の低打率を表すもので、打率2割を指す)。三振率は、彼の通算の三振率の2倍になっている」 今季のイチローは16日の時点で30試合に出場、45打数8安打で、打率.167と低迷。マリナーズとの交流戦では、凱旋試合で感動的な本塁打を放っているが、一方で11三振を喫するなど、ここまでは精彩を欠いている。43歳のイチローを同サイトが「少しずつ衰えている」と書くのも仕方がないのかもしれない。 野手では、他にメジャー屈指の強打者、エンゼルスの37歳、アルバート・プホルスを「彼の通算成績のなかでも四球で出塁率が低く、逆にこれまでの通算成績に比べて三振率が高い。ゴロを打つ率が高いことは、エンゼルスのDHがパワーある打撃をしていないことを説明する一因でもある」と分析。 かつてはパワーとスピードを備えていたメッツの36歳、カーティス・グランダーソンについても、「ナ・リーグの規定打席に達している打者のなかでは、打率が.148と最も低い。もし、ティム・ティーボウがメジャーに昇格して、グランダーソンのポジションに入ったならば、打率.173と予測される」と、元NFL選手でプロ野球選手に転向し、メッツのマイナーにいるティム・ティーボウも同程度の成績を上げられるのではないかとした。 さらにインディアンスから古巣のレンジャーズに戻ったマイク・ナポリ、ブルージェイズの外野手で主軸のホゼ・バティスタ、ドジャースのエイドリアン・ゴンザレスの名前が挙げられている。