2失点のロッテの京大君に対し首脳陣が「落第と書くな」と異例のお願い!
千葉ロッテのドラフト2位の田中英祐投手(22)が11日、QVCマリンでの中日戦に5回からオープン戦2度目の登板、2回を投げて3安打2四球2失点と崩れた。それでも最速145キロのストレートと、2つの三振を奪ったタイミングを外す縦のスライダーに大きな可能性も。落合英二投手コーチは、「今日の結果で落第と書くのは禁止だよ」と、メディアに異例の禁止令を発令した。18日のソフトバンク戦で1軍枠への生き残りをかけた追試登板のチャンスを得ることになった。
風速8メートル。千葉ロッテの京大君は、いきなりマリン名物の洗礼を受けた。 「アマチュアでこれほどの風は体験したことがない」 電光掲示板の風向きの矢印は、センターからキャッチャー方向を示していたが、その強風は、バックネットで跳ね返り、マウンド上では、風にあおられるような逆風となる。 「キャッチャー側にボールも体ものっていきにくく感じた。変化球の曲がりや抜け方も大きくなる。手先でコントロールしようとしてバランスが崩れていった」 マウンドに上がった5回は、先頭の井領を左飛、藤井を三振、亀澤を歩かせたが、3番に入っていた森野をストレートで右飛に抑えた。だが、6回には、福田、ナニータ、エルナンデスに3連打を浴びて無死満塁。高橋周に押し出しの四球を与え、代打・野本にレフトへの犠牲フライを許して2失点。なお二死一、三塁と続くピンチで、藤井に左中間へ快音を残されたが、これを荻野がダイビングを試みてスーパーキャッチ。2軍行きを命じられる寸前の危機を関西学生野球の先輩に助けられた。 「完全にやられたと思った。ありがたかった。凄く心強く頼もしいし、それに見合ったピッチングをしなければならないと思った」 結果的にタイムリーは許さず、初体験の大強風と格闘しながらのピッチングだっただけに、首脳陣は18日のソフトバンク戦での“追試”を決定した。 「いいボールはあった。落ち着いてコントロールをしていたし、もう一回(オープン戦で)投げさせたい。思ったより形になっていた」とは、伊東監督の評。 伊東監督も、落合投手コーチも「良かった」と口をそろえて評価するのは、5回一死から左打者の藤井に対してカウント2-3からキャッチャーのサインに首を振って投じたスライダーだ。124キロのそれは、縦に落ちて、タイミングを崩された藤井はスイングアウトを喫した。投げっぷりが良かったため、チェンジアップのような効果をもたらしたのだ。 一方で課題も浮き彫りになった。1軍レベルで見ると制球力が物足りない。ストレートは最速145キロ。アウトコースいっぱいに狙う、そのカウント球が、ボールになってしまうと、ピッチングがどんどん窮屈になっていく。伊東監督も「課題は制球だね。ボール、ボールとなってしまうと苦しい。プロでは簡単にストライクをとらせてくれないからね。球種が少ないからなおさらだ」と、田中が抱えている課題を明らかにした。