黒木華の柔らかな雰囲気が作品とマッチ!ドラマ「みをつくし料理帖」
高田郁の累計部数300万部を超える人気時代小説「みをつくし料理帖」。本作は江戸を舞台に大坂出身の料理人・澪が東西の味の好みや違いに戸惑いながらも、さまざまな工夫を凝らした創作料理の数々で人々を幸せにしていく人情時代劇で、これまで、2012、14年に北川景子でスペシャルドラマ化(テレビ朝日系)、2017、2019年に黒木華主演でNHK連続ドラマ化(NHK総合)、2020年には松本穂香で映画化と、名女優たちをヒロインに据え、幾度となく実写化もされてきた。今回はその中から、今もなお根強いファンを持つ、黒木華が演じたNHK版の「みをつくし料理帖」をピックアップする。 【写真を見る】店先で料理を配る澪(黒木華) ■日本演劇界に彗星のように現われ、数々の賞を総嘗め 今や誰もが認める演技派女優として日本演劇界を牽引する黒木。高校、大学と舞台で芝居を積み、2011年には映像作品に進出。「東京オアシス」でメインキャストとして映画初出演、2012年には「おおかみこどもの雨と雪」で声優に初挑戦、さらにはNHK連続テレビ小説「純と愛」でヒロインの同期社員役でテレビドラマ初出演を果たし、一躍注目を集める。翌2013年には初主演映画作となる「シャニダールの花」や「舟を編む」での演技が評価され、日本アカデミー賞、ブルーリボン賞など日本の主要映画賞で7つの新人賞を受賞。まさに日本演劇界に彗星のごとく現われた超大型新人といえる。その後も黒木の躍進は止まらない。2014年にはオーディションを勝ち取り「小さいおうち」で山田洋次監督作品に初出演し、第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を23歳で受賞。日本の女優史上4人目、日本人で最年少での受賞となった。2015年には、映画「母と暮せば」で第39回日本アカデミー賞・最優秀助演女優賞を受賞し、史上2人目の連覇を果たす。ここまではまだまだ序の口、彼女の受賞歴を挙げれば切りがない。黒木華という女優の恐ろしいまでの演技力、それはこの数々の賞が証明してくれているだろう。 ■柔らかさと強さを兼ね備えた唯一無二の俳優 彼女の素晴らしさは、柔らかさと強さ、その両方を兼ね備えているところではないだろうか。ふわりとした柔らかい雰囲気を纏った彼女は、見る人々に親近感を与え、温かな気持ちへと導いてくれる。彼女の優しい笑顔に幸せをもらい、同時に儚くも見えるその姿は時に守ってあげたくなる庇護欲をもかき立てる。それなのに、彼女の芯の強さは決してブレることがない。それこそが彼女の唯一無二の魅力なのだ。この「みをつくし料理帖」でも、純朴ながらも心に熱い情熱を秘めた澪というキャラクターを見事に表現している。普段の柔らかい澪から、料理に向き合う瞬間に瞳がガラリと変わるのが印象的だ。そんな彼女が、藻掻き苦戦しながらも、人情味溢れる江戸の人達と出会い成長し、心を込めてふるまう料理で人を幸せにしていくさまは、見ているだけで胸が温かくなる。 そっと人の心に寄り添い、捉える。そんな魅力が、黒木には間違いなくある。料理シーンに向けて、家で料理の練習をするなど役作りに関しては、真面目でストイック。それ故に、キャラクターをリアルに、より魅力的に演じることができているのだろう。そんな料理シーンはもちろんのこと、本作では森山未來演じる小松原とのピュアな恋愛模様も見どころの一つ。黒木の照れる姿がなんともかわいらしく、2人のやりとりに思わずキュンキュンしてしまう。黒木の魅力がたっぷりと感じられる作品となっている。 文=鳥取えり
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