源氏物語と斎宮、深いつながり 三重・明和 斎宮歴博で企画展 開館35周年記念
三重県多気郡明和町竹川の斎宮歴史博物館(川口晃館長)の開館35周年を記念した春季企画展「源氏物語と斎宮―王朝のきらめき 光る君の栄華―」が20日から始まった。開館以来体系的に収集してきた源氏物語関連資料43点を紹介し、物語と斎宮の深いつながりをひもとく内容となっている。前期展示は5月12日まで。後期は同14日~6月2日。
今年は、NHK大河ドラマ「光る君へ」で源氏物語の作者・紫式部の生涯が描かれたり、19日から封切りされた映画「陰陽師(おんみょうじ)0」で実在した陰陽師が描かれるなど〝平安ブーム〟が到来している。同館では、大河の制作が決まった頃から放映に合わせた企画展を計画していた。 開館以来収集してきた源氏物語関連資料の全容を公開。▶プロローグ「三人の伊勢斎王」▶第1章「紫式部という女(ひと)」▶第2章「源氏物語の美術」▶第3章「源氏物語の斎宮―野宮・別れの御櫛・絵合―」▶エピローグ「源氏物語、その後」――のテーマで、43点を前後期で紹介する。 プロローグでは、平安時代の「三十六歌仙」のうち5人しかいない女流歌人の一人で、伊勢神宮に仕えた斎王の一人「徽子(きし・よしこ)女王」の「斎宮女御集正般本(さいくうにょうごしゅうしょうはんぼん)」(室町時代・同館所蔵、県指定有形文化財)などを紹介。 徽子女王は、源氏物語に登場する「六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)」のモデルになったとされる人物で、公開中の同映画ではヒロインとして登場する。歌人や箏(そう)の名手として有名。また斎王を退下後に村上天皇の女御となったことで「斎宮女御」として知られている他、娘の規子内親王が斎王として伊勢に仕える時に一緒に斎宮に赴き、2度に渡って訪れたまれな人物だという。 第3章の「源氏物語図屏風(びょうぶ)」(江戸時代前期)では「賢木(さかき)の巻」で、斎王となって伊勢に向かう娘に付き添い野宮にいる六条御息所を、光源氏がお忍びで訪ねた場面などが描かれるなど、斎王にちなんだ場面を見ることができる。 また松阪出身の国学者・本居宣長は、40年以上にわたって源氏物語を研究。のちに注釈書「源氏物語玉の小櫛(たまのおぐし)」で「もののあはれ」を提唱し、純粋な物語として読まれることになるきっかけを作ったことなどがエピローグで紹介されている。 学芸員による展示説明会が27日と5月19日、いずれも午後1時半から行われる。 学芸普及課の松田茜学芸員(29)は「源氏物語と斎宮のつながりに焦点を当てた企画展です。物語の中に斎王や斎宮が重要なエッセンスとして登場していることを感じ取ってもらえたら」と話している。 観覧は一般300円。開館は午前9時半~午後5時(入館は同4時半)。休館は月曜日(29日、5月6日は開館、同7日休館)。
NHK大河「光る君へ」 ドラマの衣装やジオラマ
また5月28日~6月2日には同館エントランスホールで、「光る君へ」の全国巡回展(NHK津放送局主催)が開かれる。ドラマの衣装や小道具、照明の世界が体験できるジオラマセットなどが、入場無料で観覧できる。