【高校サッカー選手権】桐光学園FW丸茂晴翔はいくつもの思いを背負い攻守に泥臭く全国を目指す
10月20日、第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選2次予選・3回戦が行われた。鎌倉と対戦したインターハイ全国8強の桐光学園は2-0で勝利を収め、準々決勝進出を決めた。 【フォトギャラリー】桐光学園 vs 鎌倉 「国立で勝つ」を目標に掲げる桐光学園にとっては初戦の堅さあったとはいえ薄氷の勝利。そんな厳しい試合を救ったのはFW9丸茂晴翔のPKだった。 「相手のハンドで誰が蹴るかっていう中で、『こういう流れを変えられるのは自分だ』と思っていたいので、自分自身で蹴ると決めていました。キャプテンや青谷も『お前が蹴ろ』と背中を押してくれたので、しっかり気持ちを落ち着けて、自信持ってみんなの気持ちを乗せて蹴ることができました」と丸茂は振り返る。 試合は、ラストプレーとなったCKからDF4青谷舜がダメ押し、2-0で準々決勝進出を決めるものの鈴木勝大監督はDF2杉野太一キャプテンに全ての部員を集めさせると30分近い時間をかけてミーティングを行なった。 「戦術云々じゃなくて、自分たち足りなかったのは、前半とかも相手に球際で負けてる部分もありましたし、そういう面で桐光学園は全国優勝目指してるチームとして1個も負けちゃいけないし、 5:5とか6:4とかじゃなくて、やっぱり10:0に持ってかなきゃいけないので、走りだったり戦いだったり、そういうところが足りてないんじゃないかって監督に指摘されました。チームでもう1個ギアを入れて、もっとパワーを持ってやらないと自分たちの良さが出ないし、縮こまってやってても桐光学園のサッカーじゃないので、そこはやみんなでパワー持って、キャプテンの(杉野)太一中心に全員で、応援してくれる人たち含めて55人で一致団結してチーム一丸となって戦うのが大事なことかなと思います」 丸茂自信も過去の経験から選手権にはチームの誰よりも強い思い入れがある。 「選手権は負けたら終わりで、自分は2年連続メンバーに入って同じところで負けてしまってるので、3年生だし来年はないので、今年は全てを賭けてやっています。1年の時も日藤に負けて、去年、自分は桐蔭戦の前半にクロスから外してしまって、その1本があれば勝ちに行けたと思いますし、あの敗けからずっとあの試合が忘れられなくて、俺は何をしに桐光に来たんだって、ずっと悔いが残っています。去年、一昨年みたいな思いは絶対したくないって気持ちでこの1年間取り組んできてるので、その気持ちを存分に出してやっていきたいです」 そんな丸茂が背負うのが背番号「9」。昨年のストライカー宮下拓哉(現・桐蔭横浜大)から受け継ぎ、日本代表でも活躍する小川航基もつけていた番号だ。 「チームで求められてることは、ストライカーとして、もちろん点を取るってことは自分が1番求められているんだと思いますし、 守備の面でも自分がファーストディフェンダーとして一番最初に勢いを持って泥臭く守備して、攻撃でも泥臭く点を取って、チームを勝たせるっていうのが求められてることだと思います」 そんな思いを背負って3年生となり、背番号9を背負った丸茂。リーグ戦、インターハイ予選と泥臭くピッチを巡り、インターハイへ本戦に出場。そのインターハイ本戦は、昨年あと一歩で日本一を逃した桐光学園にとっても譲れない舞台だったが、3回戦・作陽戦で丸茂に怪我が襲う。準々決勝・昌平戦を欠場した丸茂に待っていたのはリハビリとトレーニングの日々。選手権に間に合わせるため辛い日々に耐えた。 「今日、試合始まる前にも監督から、全国で去年悔しい思いして、今年はやろうってなってる中で、インターハイで怪我して戦えずに悔しい思いをして、死ぬ気で怪我中もトレーニングをして、この選手権に賭けているてことを『お前のリハビリはこのためにやってきたのだろう』って活を入れてもらいました。この大会で、あの時の悔しさも含めて全て出して、今怪我している7番の増田(遥希)や外から応援してくれてる仲間に全国の舞台を用意するために、みんなの気持ちを背負ってやっていくのが試合に出てる自分たちの使命かなと思います」 そんな丸茂に今一度目標を聞いてみた。 「兄(丸茂拓翔/現・上武大)もここのサッカー部で一緒にメンバー入ってて悔しい思いをして、兄や両親からも頑張れっていう言葉をもらいました。お世話になった先輩たちからもメッセージありました。その人たちの気持ちを背負って戦って全国に行きたい。全国行けばみんな見に来てくれると思うんで。自分が背負う9番は桐光学園の中でもストライカーがつけるという大事な番号なんで、それを証明したいです。このあと3試合で、まず1点で満足するんじゃなくて、どんどん、1点取ったら2点、2点とったら3点。チームを救っていけるストライカーになっていきたいです」 丸茂晴翔はいくつもの思いを背負い、攻守に泥臭く全国を目指す。 (文・写真=西山和広)