《ブラジル》サントス事件遭遇の上原直勝氏 息子のキヨシさん夫妻らの回想(下)
一方、キヨシさんの姪である上原イザさん(68、3世)は、笠戸丸移民だった上原直松氏(直勝氏の兄)の孫で、キヨシさんが幼少年期にサントス市で一緒に暮らしていた従兄弟の松太郎さん(直松氏の長男)の長女に当たる。 イザさんが父・松太郎さんから伝え聞いた話によると、サントス事件当初、直松夫人のマツさん、直勝夫妻の3人が強制退去させられた後、「ブラジルの警察だか、(一般の)ブラジル人だか分からないが」(イザさん)、家の中にあった家財道具などを勝手に盗んで持っていかれたという。さらに、当時サントス市近郊のポンタ・ダ・プライアにあったシャカラ(農園)に植えられていた「シュシュ(ハヤトウリ)」を盗られる被害も受けた。 松太郎さんは学生時代にバスケットボールのサントス代表選手として活躍し、奨学金の恩恵を受けるほどの名選手だったそうだ。その後、会計士となり、サントス市にある沖縄県人の施設である「アトランタ会館」も設立するなど尽力。サントス市議も30年にわたってつとめ上げ、地元の発展に貢献してきた名士の一人だった。(おわり、松本浩治記者)