韓国の曺国元法相は3年後の大統領選を狙うのか 澤田克己
韓国総選挙の1カ月前に新党を立ち上げて旋風を巻き起こし、自らも当選した曺国(チョ・グク)元法相の去就が注目されている。娘と息子の入試に関する不正事件などで起訴され、ソウル高裁で2月に懲役2年の実刑判決を言い渡されて上告中の身だ。実刑判決が確定すれば国会議員の身分を失い、収監される。にもかかわらず、3年後の大統領選への出馬が取り沙汰されているのだ。 曺氏は文在寅(ムン・ジェイン)前政権の看板政策だった「検察改革」を巡って、当時は検事総長だった尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と激しく対立した。熱心な政権支持者だった人たちからは、現在も熱狂的な人気を集めている。 特に中高年女性からの支持が強い。韓国紙の記者は「ウェットティッシュ部隊という言葉までできたからね」とあきれ顔で話す。裁判所に出廷した際などに、曺氏の車をウェットティッシュで献身的に拭く女性支持者たちが何人もいたのだという。 今回は自らの名前と同音異義語である「祖国」を党名にした新党「祖国革新党」を3月に創設して比例区(定数46)で戦い、得票率24.25%で12議席を得た。韓国ギャラップ社が4月26日に発表した世論調査での政党支持率は、与党・国民の力33%、最大野党・共に民主党29%、祖国革新党13%となっている。 ■常識的には8年後の「次の次」だが 常識的に考えると、曺氏が次の大統領選に出るのは難しい。それほど複雑な事件ではないから上告審に時間はかからないだろうし、結論が覆る可能性も低いという見方が一般的だ。大統領選までには刑期を終えるだろうとみられているが、それでも刑の執行を終えてから5年間は被選挙権がない。となると、狙うのは8年後の「次の次」ということになるはずだ。 だが話題になるのは3年後の大統領選への出馬だ。穏健保守の長老で、政界のご意見番的存在である尹汝雋(ユン・ヨジュン)元環境相は、選挙結果を受けた韓国メディアのインタビューで「(3年後も)絶対に不可能だとばかりは言えない」と話した。