<ポン・ジュノ監督特集>「パラサイト 半地下の家族」を含む6作品を一挙放送 浦沢直樹&西川美和からのコメントも到着
BS松竹東急(全国無料放送・BS260ch)の放送枠「よる8銀座シネマ」と「土曜ゴールデンシアター」では、「鬼才に喝采!アカデミー賞受賞監督 ポン・ジュノ特集」と題して、9月20日(金)よりポン・ジュノ監督の映画を特集放送。そして今回、ポン監督と交流も深い漫画家の浦沢直樹と、映画監督の西川美和よりコメントが到着した。 【写真】「パラサイト 半地下の家族」より、薄暗い部屋に座り込むキム一家 ■実在した連続殺人事件を元に描いた「殺人の追憶」 9月20日(金)夜8時からは「殺人の追憶」を放送。また本作は、9月22日(日)昼12時より再放送もされる。1986年、ソウル近郊の農村で若い女性の変死体が発見された。その後も同じ手口の連続殺人事件が発生。現地には特別捜査本部が設置され、地元の刑事パク・トゥマン(ソン・ガンホ)とソウル市警から派遣されたソ・テユン(キム・サンギョン)がこの難事件に挑む。性格も捜査方法も対照的な二人は衝突しながらも、ついに有力な容疑者を捕らえる。 9月24日(火)夜8時からは「ほえる犬は噛まない」を放送。中流家庭の人々が住む閑静なマンション。飼うことを禁止されているはずの犬の鳴き声がマンション内に響き渡り、うだつの上がらない大学の非常勤講師ユンジュ(イ・ソンジェ)はイラついていた。一方、マンションの管理事務所で働くヒョンナム(ペ・ドゥナ)は平凡で退屈な毎日を送っていた。そんな中、団地に住む少女の愛犬ピンドリがいなくなったと知ったヒョンナムは、小さな正義感に火がつきビラ貼りを手伝い始めることに。 9月25日(水)夜8時からは「スノーピアサー」を放送。2014年7月1日、人類は突如として絶滅の危機を迎えた。地球温暖化を食い止めるために散布された冷却物質は地球に氷河期をもたらし、永久機関を持つ列車「スノーピアサー」に乗り込んだ人々だけが生き残りに成功する。それから17年後の2031年、「スノーピアサー」の乗客は貧富の差で分けられ、貧困層は富裕層によって悲惨な扱いを受けていた。そこで、貧困層ではカーティス(クリス・エヴァンス)をリーダーに、平等な社会を、そして人間の尊厳を取り戻すために仲間と共に反乱を企てる。 ■殺人事件の容疑者となった息子を救うため、真犯人を追う母親の姿を極限まで描いた「母なる証明」 9月26日(木)夜8時からは「母なる証明」を放送。また、本作は9月29日(日)昼12時より再放送される。漢方薬店で働きながら一人息子のトジュン(ウォンビン)を育て上げた母(キム・ヘジャ)。二人は貧しいながらも、母ひとり子ひとりで懸命に生きてきた。息子は、内気だが朗らかな純粋な青年であった。ある日、二人が住む静かな街で凄惨な殺人事件が起きる。一人の女子高生が無惨な姿で発見されたのだ。事件の第一容疑者として、トジュンの身柄が拘束された。無実を信じる母親は立ち上がり、息子の疑惑を晴らすため、たった一人で真犯人を追って走り出す。 9月27日(金)夜8時からは「パラサイト 半地下の家族」を放送。本作は、第92回アカデミー賞では最多4部門、第72回カンヌ国際映画祭では、最高賞のパルムドールを受賞した。父ギテク(ソン・ガンホ)と母チュンスク(チャン・ヘジン)は失業中、長男長女は浪人中のキム一家は、Wi-Fiも飛んでいない半地下暮らし。日の光も、電波も弱い“半地下住宅”で暮らす貧しいキム一家。大学受験に失敗し続けている長男ギウ(チェ・ウシク)はある理由から、IT企業を経営し、“高台の豪邸”で暮らすパク社長(イ・ソンギュン)の家へと家庭教師の面接を受けに行く。兄に続いて、妹ギジョン(パク・ソダム)も豪邸に足を踏み入れるのだった。 9月28日(土)夜9時からは「グエムル 漢江の怪物」を放送。ソウルの中心を南北に分けて流れる雄大な河、漢江。休日を河岸でくつろいで過ごす人々が集まっていたある日、突然正体不明の巨大怪物<グエムル>が現れる。河川敷の売店で店番をしていたカンドゥ(ソン・ガンホ)の目の前で、次々と人が襲われていく。そして、カンドゥの愛娘、中学生のヒョンソ(コ・アソン)がグエムルにさらわれてしまう。 ■浦沢直樹 コメント にっちもさっちもいかない人間。一縷の望みを信じてあきらめない人間。ポン・ジュノ監督の作品は徹底して人間を描こうとしている。残酷なまでに。 ■西川美和 コメント ポン・ジュノ監督の作品を好きにならずにいるのは難しい。きもち悪いのに、楽しい。恐ろしいのに、おもしろい。常に、描かれるのは不遇な人々だ。貧困や暴力や格差、そしてそこに渦巻く執着や絶望。展開は残酷だし、血生臭い。 にもかかわらず、ポン監督の映画は好もしい。それは奇跡のようなもので、なぜそのように描ける人と、描けない人がいるのか、私には解析できない。混沌とした社会と人間の暗部を描くことから、ポン監督は逃れられないだろう。 それは、重く、複雑な成り立ちの韓国という国に育ち、その変化を目の当たりにしてきた監督自身の宿痾のようなものでもある。 しかしポンさんはきっと心に決めている。誰一人置いてけぼりにしない。絶対に映画の最後まで連れて行くんだと。その観客に対する厚い親愛。それこそが彼の天賦のものだし、憧れても、憧れてもまた遠ざかる眩しい背中だ。