【内堀知事訪欧 成果と展望】(上) 欧州から誘客強化へ 受け入れ態勢課題
福島県の内堀雅雄知事は8日から13日まで英国、ベルギー、オランダの3カ国を巡り、政府機関などを訪問して東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興の現状を発信した。県産品の輸入業者と面会し取扱量の拡大を要請した他、欧州からのインバウンド(訪日客)の誘致に協力を呼びかけるなど、トップセールスを繰り広げた。今回の訪欧で得た成果と今後の課題を探る。(本社報道部・丹治隆) 「欧州に福島の魅力は行き渡っておらず、“伸びしろ”がある。戦略的に情報発信をしていく」。12日、訪問先のオランダで内堀雅雄知事は欧州からのインバウンドの誘致に向け、決意を語った。 県内の訪日客は増加傾向にあるが、欧州からは低調だ。観光庁のまとめによると、2023(令和5)年に県内を訪れた外国人の延べ宿泊者数は17万9180人で過去最多を更新。ただ、欧州主要国からは5290人で全体の3・0%にとどまった。国・地域別の宿泊者数は【グラフ】の通り。
県は内堀知事の訪欧を契機に欧州からの訪日客増加のための情報発信を強化する方針だ。滞在中の8日に英国ロンドンで催した「ふくしまレセプション」で内堀知事は福島県の魅力をPR。11日にはベルギーでEU欧州委員会のハーガル官房長と会談し訪日客誘致への支援を依頼した。今後、各国にある県人会の協力も得て県内の自然や歴史、文化などの魅力を広めていく。 2026年に県内で開幕する「大ファン・ゴッホ展」(仮題)も好機と捉え、誘客を進める。今回の訪欧で展覧会へのルノワールの作品貸し出しが決まった。美術ファンを福島県に呼び込む素材の一つにする。 一方で訪日客誘致には課題も多い。県内の観光地は多言語化やキャッシュレスへの対応の遅れが指摘されている。県は環境整備を具体的な施策として進めたい考えだ。内堀知事は訪欧中の記者会見で大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」が2026年4月から始まる点に触れ、「来年のプレ、本番、アフターと3年続く期間中に観光促進策に力を入れていく」と意欲を示した。