柴田町殺人事件 法廷で明かされた謎の霊能力者 被害者の長男妻は共謀否認 殺害関与が争点に〈宮城〉
仙台放送
去年4月、柴田町で、男性を殺害した罪などに問われている男性の次男と長男の妻の初公判が11月5日、仙台地裁で開かれました。次男は殺人について起訴内容を認めましたが、長男の妻は関与を否認しました。 去年4月、柴田町西船迫の住宅で、会社員の村上隆一さん(当時54)が刃物で刺され殺害される事件が発生しました。事件の発生から約4カ月後、殺人容疑で逮捕されたのは、村上さんの親族2人でした。実行役とされる村上さんの次男・直哉被告(25)と、主導的立場だったとされる村上さんの長男の妻・敦子被告(48)です。 この事件をきっかけに、2人はいわゆる「美人局」の手口で金をだまし取る詐欺グループだったことも判明。一連の事件に複数の親族などが関わっていました。捜査関係者によりますと、このグループは敦子被告の指示のもと犯行を重ね、敦子被告による一種のマインドコントロール状態にあったとみられています。詐欺に関与していなかった村上さんが殺害された理由は何だったのでしょうか? 5日の初公判で、直哉被告と敦子被告の関係性など、事件の背景が詳しく見えてきました。争点は2人の間に殺害の共謀があったかという点です。冒頭、裁判長から起訴された内容について問われた直哉被告は、殺害した事実を認めました。ところが、「敦子被告との共謀は否定します」とつぶやくように小さな声で答えました。 さらに敦子被告は、直哉被告と「共謀もしていないし殺していません」と、はっきりした声で否認しました。 直哉被告と敦子被告は義理の姉と弟という関係ですが、5日の裁判では、2人が極めて親密な関係にあったと検察が指摘しました。検察によりますと、殺害された村上隆一さんは妻と離婚し、次男の直哉被告は義理の姉の敦子被告に、普段から日常生活の面倒を見てもらっていたということです。 さらに、5日の裁判では奇妙な話も飛び出します。事件の背景に「ジュン」という自称・霊能力者の存在があったと検察が明らかにしたのです。検察側は「『ジュン』という霊能力者が、直哉被告にラインで隆一さんを殺害するようメッセージを送っていた」と主張しました。「隆一さんは敦子被告に呪いをかけている。隆一さんを殺害しないと敦子被告が死ぬ」というラインのメッセージがあったといいます。検察は、この「ジュン」という霊能力者は、じつは敦子被告がなりすましていたもので、敦子被告が直哉被告をマインドコントロールし、隆一さん殺害を仕向けたと主張しました。 一方、弁護側は「直哉被告は小学生の頃から日常的に霊が見えていた。呪いを解くには隆一さんを殺すしかないと考えるなど心神耗弱状態だった」と主張。さらに、「ジュンと敦子被告は別人だ」とも主張しました。 凄惨(せいさん)な事件の背景で、一体何が起きていたのでしょうか?注目の判決は今月25日に言い渡されます。
仙台放送