ドクさん映画、越で初上映 「平和の願い、次世代へ」
【ホーチミン共同】ベトナム戦争で米軍が散布した枯れ葉剤の影響とみられる結合双生児として生まれた「ベトちゃんドクちゃん」の弟、グエン・ドクさん(43)の人生を描いた長編ドキュメンタリー映画が8日夜、南部ホーチミンで開かれた国際映画祭で初めて上映された。戦争の影響で障害を抱えながらも、前向きに生きる人生を静かに描写する内容だ。 ドクさんは上映後に登壇し「平和への願いを次世代へ伝えたい」と涙ながらに語った。日本では5月3日から公開される。 作品名は「ドクちゃん―フジとサクラにつなぐ愛―」。ドクさんは2006年に結婚、09年に誕生した双子に日本の富士山と桜から名前を付けた。映画では、妻や子どもと外食をしたり、ボウリングを楽しんだりするほほえましい場面を描写。一方、生後間もなくから病院暮らしだったドクさんが、実母の愛を知らずに育ったことへの葛藤も記録された。 下半身がつながった状態で生まれたドクさんらは1988年、日本の支援で分離手術を受けた。兄のベトさんは2007年に死亡。ドクさんは今も健康問題を抱える。