トークン化はより効率的な担保送金を可能にする──パイロットプロジェクトで実証
現実資産(RWA)をトークン化する企業であるデジタル・アセット(Digital Asset)は、カントン・ネットワーク(Canton Network)のプロトコルを使用して金融取引用に英国債(ギルト)、ユーロ債、ゴールド(金)をトークン化するパイロットイニシアチブを完了したと8日に発表した。 このプロセスには、他の銀行、投資家、カストディアン、中央証券保管機関とともに、大手証券決済プロバイダーのユーロクリア(Euroclear)、ワールド・ゴールド・カウンシル(World Gold Council)、世界的法律事務所のクリフォード・チャンス(Clifford Chance)も参加したとプレスリリースは述べた。 トークン化とは、債券や不動産、ゴールドのようなコモディティなどの現実資産を、ブロックチェーンレール上でデジタルトークンに変換するプロセスを指す。これらのトークンは資産の所有権や支配権を表し、原資産の価値を維持しながら、デジタル形式でより容易かつ迅速に取引することを可能にする。ボストン・コンサルティング・グループ(Boston Consulting Group)と21シェアーズ(21Shares)のレポートでは、楽観的なシナリオでは10年後までにトークン化された資産が10兆ドル(1480兆円、1ドル148円換算)を超えると予測しており、一方でマッキンゼー(McKinsey)は基本ケースとして10年後までに2兆ドル(約300兆円)になると予測している。 6月から7月にかけて実施されたこのパイロットプロジェクトの場合、ギルト、ユーロ債、ゴールドのデジタル版を作成。従来の金融レールに伴う遅延なしに、より高い透明性、より迅速な送金、当事者間における24時間体制のほぼ瞬時の決済を実現する担保として使用した。
パイロット参加者の見解
「我々がパイロットの参加者と行った作業により、トークン化された資産は、通常の決済サイクル、処理時間、タイムゾーン以外でも、日中のマージンコールに応じるために即座に使用できることが実証された」とデジタル・アセットの最高事業開発責任者、ケリー・マリソン(Kelly Mathieson)氏は述べた上で、「また、台帳が法的な記録として機能することを実証し、取引相手が不履行に陥った場合に、証拠金や担保として受け取ったデジタルツインと現実資産に対する担保権者のコントロールを検証した」と語った。 ワールド・ゴールド・カウンシルのマーケット構造とイノベーションのグローバルヘッド、マイク・オズウィン(Mike Oswin)氏は、トークン化されたゴールドも注目すべき利点を提供すると述べた。現物のゴールドを「スタンダード・ゴールド・ユニット(Standard Gold Units:SGU)」に変換することで、このパイロットは、貴金属が金融取引の担保資産としてよりシームレスに使用できることを実証した。 「トークン化されたゴールドは、保管の制限のような従来の障壁を取り除く」とオズウィン氏は述べた。 |翻訳・編集:廣瀬優香|画像:Unsplash|原文:Tokenization Allows More Efficient Collateral Transfers, Digital Asset, Euroclear and World Gold Council Found in Pilot Project
CoinDesk Japan 編集部