低迷のウエルシアが若者向けドラスト、花王が支援。1000円台の低価格で勝負
ウエルシア薬局などを展開するウエルシアホールディングスが、Z世代など若者に特化したドラッグストアを神奈川県横浜市にオープンした。同社にとって初の試みで、口紅「リップモンスター」の大ヒットで知られる花王グループがサポートした。 【全画像をみる】低迷のウエルシアが若者向けドラスト、花王が支援。1000円台の低価格で勝負 ウエルシアHDの主要顧客は30~50代だが、昨今は業績が伸び悩んでいることもあり、客層を広げたい考えだ。 若者向けといえば、ドン・キホーテもα~Z 世代をターゲットにした新業態「キラキラドンキ」を開業するなど各社がしのぎを削っている。
主力は低価格コスメ、接客よりも「セルフ」で
新たにオープンした「ウエルシア薬局 HAC BIOKA店」に入るとまず目に飛び込んでくるのは、ずらりと並ぶカプセルトイと、ウエルシアの公式キャラクター・うえたんが壁一面に描かれた“インスタ映え”スポットだ。 内装のコンセプトは、色とりどりの「ネオン」。 他の店舗に比べて食品や飲料を減らす代わりに、コスメをぐっと増やした。コスメの主力は1000円台など低価格帯の商品で、接客されるのが苦手なZ世代向けにビューティーアドバイザーは置かず、自身で店内のさまざまなテスター商品を試せる「テイスティングコーナー」を設けた。これもウエルシアHDとして初めての試みだ。 店長の梅本亜希さんは韓国に行き、現地で人気のコスメなどを扱う小売店「オリーブヤング」などを視察したという。照明付きの大きな鏡が並ぶ広々としたテイスティングコーナーも、韓国で着想を得たものだ。 店舗に置くコスメの約4割は韓国コスメで、他にもお菓子や飲み物、韓国焼酎の「チャミスル」、アイス、カップ麺など韓国商品を豊富に揃えた。 コンドームなどの避妊具コーナーを広く設け、女性向けのセルフプレジャーを置いたのも大きな特徴だ。 また日用品はサンリオなど人気キャラクターとのコラボ商品を意識して揃えたそうだ。
社長同士の会合がきっかけ
今回の若者向け店舗プロジェクトが立ち上がったのは、2024年の夏頃。きっかけは、ウエルシア薬局の田中純一社長と、花王グループカスタマーマーケティングの中尾良雄社長の会合だったという。 ウエルシアHDはタバコの販売終了やポイントサービスの変更などにより、売上が低迷。2025年2月期(今期)の業績予想を下方修正している。 これまでは若年層の取り込みに注力せずとも業績が伸びていたが、もうそうはいかない。自社の営業や商品開発など、あらゆる部署の20代社員らにヒアリングに加え、取引先である各メーカーの若手社員にも声をかけ、どうすれば若者が訪れるドラッグストアになるか調査を重ねたという。 花王側は、Z世代にアプローチしやすい売り場づくりの提案をしたという。日本に数台しかないというスキンケア用品「キュレル」のカウンセリングができるタッチパネルを設置したほか、口紅「リップモンスター」の大ヒットで知られるコスメブランド「KATE」や、ヘアケア用品「ジアンサー」などのブランドムービーが流れるモニターも置いた。 今回の新店舗は、花王側にもとっても「(この店舗で)Z世代の購買行動をしっかりと見て、今後の商品開発などにいかしたい」(担当者)という狙いがある。
竹下 郁子