“ロス世代”U-19日本代表主将は大宮DF市原吏音に決定! 森保J帯同&J3首位独走経験も糧にアジア予選へ「スキのない日本で3連勝」
2028年ロサンゼルス五輪の中心を担うことが期待される“05世代”の世界挑戦がいよいよ始まる。U-19日本代表は今月、キルギスで行われるAFC U-20アジア杯予選に参戦。勝ち抜けば来年のU-20W杯につながる大会で、まずはトルクメニスタン、ミャンマー、キルギス相手に3連勝での首位通過がミッションとなる。 【写真】「スタイル抜群」「目のやり場に困る」“勝利の女神”のアウェー遠征に反響 チームは20日の日本出発を控える中、19日に千葉県内で流通経済大とのトレーニングマッチを実施。J3の大宮で絶対的主力を務めるDF市原吏音は5-0で終えた前半45分間をキャプテンマーク姿でプレーしていた。終了後、船越優蔵監督は市原をチームキャプテンに任命したと明かした。 U-15世代から世代別日本代表を経験してきた2005年生まれの市原は昨年、一つ年上の世代でモーリスレベロトーナメントも経験した世代屈指のCB。今年1月にはA代表のアジアカップにトレーニングパートナーとしての帯同を経験し、世界舞台を知るDF冨安健洋(アーセナル)、DF板倉滉(ボルシアMG)から深い薫陶を受けてきた。 19歳にとって、A代表での経験は自覚をいっそう深める契機となった様子。この日、報道陣の取材に応じた市原は「アジア杯も帯同したし、この代では経験があるほうだと自分では思っている。呼ばれた時にキャプテンをやるつもりでいたし、じゃなくても引っ張っていかないといけない存在だと思う」とリーダーとしての覚悟を口にした。 キャプテンとしての仕事は「キャプテンだからこれをやるというのはないけど、今までどおりプレーでも引っ張っていければ」と冷静に話すが、言葉の端々からはその取り組みがうかがえた。 今回は06世代の以降の選手も7人がメンバー入りしている中、市原は「下の代の子が多く入っているので、自分が中心となってコミュニケーションを取りたい」と意欲。「久しぶりでもグループに馴染みやすいようにいろんなテーブルでご飯を食べたりしている」ともいい、「まだまだ3日目でチームになっていないし、移動もあってもう少し時間があるので、ピッチ外のところでもチーム一つになれれば」とチームビルディングにも配慮を見せていた。 またアジア杯帯同を経験した身として、A代表の高い基準は伝えていくつもり。今回のメンバーには共にアジア杯期間を過ごしたGK中村圭佑(東京V)、DF本間ジャスティン(横浜FM)、MF大関友翔(福島)も選出。MF佐藤龍之介(FC東京)ら5選手もパリ五輪開幕前の現地トレーニングパートナーを務めており、カテゴリを超えた継承が期待できそうだ。 「A代表は緊張感が全然違うなと思った。1試合にかける思いは自分らもあるけど、コミュニケーションの取り方はもっと学ばないといけない。自分を含めて、パリ五輪に行ったメンバーもいるので、上のカテゴリの代表を経験した選手が落とし込まないといけない責任がある。これをやると言うのは一概には言えないけど、選手だけでミーティングをしたり、準備のところや片付けのところなど伝えていくのが自分の役目だと思う」 アジア杯ではグループリーグで帯同を終えた後、チームが準々決勝で敗れた姿も印象に残っており、アジアの舞台を侮るつもりはない。 「アジア杯では練習で一緒にやっていて『やっぱり(レベルが)違うな』と思った選手たちがああやってやられてしまったのを見て、自分ももっとやらないといけないと思った。今はホームでやれている試合が多いのでいいけど、キルギスに行って開催国もグループにいてアウェー感もあるし、気候とか衛生関係とかでタフさも求められると思う。それでもやるしかないし、自分たちは確実に狙われる側だけど受け身にならず、周りの声を聞かずに自分たちのサッカーをやれば確実に勝てると思う。全員でタフに戦っていきたい」 U-19世代はプロで出場機会を得られていない選手も多く、試合感が懸念されるのが通例だが、市原はJ3大宮で主力として出場中。チームリーダーが試合経験を積んでいるのは頼もしい。またその大宮は2位の今治と勝ち点13差で首位を独走中。「絶対的強者」としてマークされる戦いは日本代表の立ち位置とも重なるところで、その経験も強みになりそうだ。 「去年は(J2)一番下で追う側だったけど、今年は追われる側になって、接戦ではない1位になっているので、『自分らとの勝負』というのを自チームで話している。そういう戦い方や過ごし方は他の選手より知っているつもりだし、追われる側の難しさも知っているつもり。その経験は活かせると思う」 そうして臨む世界挑戦への第一歩。U-20W杯、ロサンゼルス五輪につながる道のりだが、まずは目の前のステージに向き合いながら戦っていく構えだ。 「世界大会をなかなか経験していない代なので、ここで一つ結果を残したい気持ちが誰しもある。ロス世代と言われるけど、まずこのU-20は言われてきていたし、五輪よりもA代表を見て、そこからの逆算でU-20W杯への想いが強くなっている。いろんな人が見てくれると思うので、応援してくださる方々の思いも背負って、良い報告ができるようにしたい。とはいっても1次予選。本戦を見据えるのではなく、まずは1次予選をしっかり戦って、スキのない日本で、強い日本で3連勝して帰ってきたい」