使用済み核燃料の福井県外搬出、関電が「工程表見直し可能性」 日本原燃の核燃料再処理工場完成延期表明受け
日本原燃が青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の完成延期を正式表明したことを受け、関西電力は8月23日、福井県内の原発にたまる使用済み核燃料の県外搬出に向けて策定したロードマップ(工程表)について、福井新聞の取材に「見直しが必要になる可能性がある」との認識を示した。関電が昨年10月に工程表を提示し福井県も容認してから、わずか1年足らずで先行きが不透明になる事態。福井市内で記者団の取材に応じた杉本達治知事は「見直すということなら遺憾。その場合すぐに関電や国に話を聞かないといけない」と述べた。 関電は昨年末を期限に県と約束していた中間貯蔵施設の県外計画地点を示せなかったものの、県は工程表と国の姿勢を一定評価し、40年超運転の原発3基の運転継続とともに容認した経緯がある。工程表は、再処理工場の9月完成を前提に2026年度から使用済み核燃料の搬出を開始することが柱で、完成目標の延期により搬出時期も同様に遅れる可能性が高い。 関電は取材に「26日に行われる(原子力規制委員会の)審査会合や原燃が検討する新たな目標について注視していく。工程表の見直しが必要になれば県や立地町に報告する」とコメントした。 全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)会長の米澤光治敦賀市長は「日本の原子力政策において、六ケ所再処理施設の竣工(しゅんこう)は極めて重要と認識しており、国と事業者は総力を挙げて早期竣工に取り組んでほしい」とのコメントを出した。 野瀬豊高浜町長もコメントで、安全性確保などの観点から完成延期に一定の理解を示した上で、「再処理工場が完成しないことが原子力利用を進める上での大きなボトルネックにもなっている」とし、早期稼働を求めた。
福井新聞社