テスラ株投資家の熱狂、戻るのか-最大の暗雲はEV需要の鈍化
(ブルームバーグ): 電気自動車(EV)メーカー、米テスラの株価は今年に入ってからの極端な下落からここ数日は持ち直しの兆しも見せているが、投資家に持続的な回復を確信させるために必要な明確な展望は開けていない。
テスラは4月初めに1-3月(第1四半期)の引き渡し台数を発表する予定だが、予想はここ1カ月で急激に引き下げられた。最近のニュースの流れが、テスラ車需要の今後数カ月の低迷を示唆していることはさらに重要だ。
データトレック・リサーチの共同創業者ニコラス・コラス氏は「納車予測が大幅に下方修正されたことで、テスラに対する投資家の信頼は失墜した」と指摘。「バリュエーションは往々にして、その企業の最も弱い部分に連動する。テスラの場合、それは自動車事業だ」と述べた。
米S&P500種株価指数が年初来で10%高となったのに対し、テスラ株は29%下落。しかし、テスラにとっての最大の暗雲はEV需要の鈍化だ。
アナリストらは納車台数と売上高、利益の予想を急速に下方修正しており、株価に対する強気な投資判断の割合は約3年ぶりの低水準となった。
より深刻なのはテスラを巡る熱狂が著しく低下していることで、投資家は短期的に株価を押し上げる新たな材料がないことを懸念している。
みずほセキュリティーズのアナリスト、ビジェイ・ラケシュ氏はEV販売への期待が予想よりも速いペースで鈍化していると指摘。同氏は、2024年のEV販売台数は前年比約15%増と予想し、従来見込んでいた25%増から下方修正した。
サンフォード・C・バーンスタインのトニ・サコナギ氏は、成長期待が低下するにつれ、大型ハイテク銘柄と比べてテスラ株が割高に見えるようになってきていると話した。
SPEARインベストのイバナ・デレフスカ最高投資責任者(CIO)は「この水準で、すでにかなりの悲観論が株価に織り込まれている」とし、「ここから先は二つに一つのシナリオになると思う」と説明。テスラが自動運転技術で進歩を見せるか、EV市場との苦しい駆け引きを続けるかのどちらかだろうと語った。