『嘘解きレトリック』は“月9枠”の救世主に? 『ミステリと言う勿れ』のヒットから紐解く
『ミステリと言う易れ』のヒットから考える、『嘘解きレトリック』の“期待と課題”
そんな『ミステリと言う勿れ』と『嘘解きレトリック』の共通点は、原作が“コミック”というだけではない。『ミステリと言う勿れ』で菅田将暉演じる久能整は、『嘘解きレトリック』の左右馬と同様に、普段から人の表情や仕草を細かく記憶しており、それが事件解決の鍵となる。また、何でも思ったことを言ってしまう整と世渡り上手な一面がある左右馬は性格は全く違うが、どこか愛らしいキャラクター像という点で共通している。視聴者がキャラクターに愛着を持ち、「この人たちの日常をもう一度見たい」という思いが、シリーズ化の実現にも繋がるはずだ。既に愛らしさを見せている左右馬や鹿乃子ではあるが、これからどのように視聴者の心に入り込んでいくのか注目したい。 一方で『嘘解きレトリック』には、話している相手の嘘を視聴者もリアルタイムで読み取れるため、伏線回収のような驚きが少ないところや、ファンタジー的な能力や昭和初期という設定が想像しにくいという点もある。しかし裏を返せば、登場人物の心の機微に触れることができる斬新な設定であり、連続テレビ小説や大河ドラマのように過去の時代を追体験できることがこの作品独自の魅力と言える。 男女2人の凸凹コンビが織りなすユニークな掛け合いが楽しい『嘘解きレトリック』。原作があるからこそ解決すべき謎も豊富で、『ミステリと言う勿れ』のような映画化も視野に入れやすい。さらには『イチケイのカラス』(フジテレビ系)、『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系)などのような人気シリーズになるのか、今後の展開を期待したい。 参照 ※1.ビデオリサーチ、週間視聴率ランキング:https://www.videor.co.jp/tvrating/ ※2.一般社団法人映画製作者連盟, 2023年度(令和5年)興収10億円以上番組: https://www.eiren.org/toukei/
伊藤万弥乃