中国地方上場50社、6割が増益・黒字化予想 2024年3月期 製造業中心に業績上向く
中国地方の上場企業50社の2024年3月期決算は、6割の30社が純損益を増益・黒字転換と予想し、減益・赤字を見込む20社を上回った。割合が半々だった前年より、製造業を中心に業績が上向く傾向にある。原材料などのコスト上昇分の価格転嫁が一定に進み、円安も寄与した。一方、新型コロナウイルス禍からの回復の遅れや中国経済の減速を懸念する企業もある。 【画像】2024年3月期配当予想を増配した企業 純損益予想の内訳は増益24社、黒字転換6社、減益18社、赤字2社。業種別は製造業28社のうち18社、非製造業は22社のうち12社が増益・黒字転換を見込む。売上高は予想を出した47社のうち30社が増収を見通す。配当予想は8社が増配に修正した。 純利益予想を上方修正したのは9社。業務用食品製造のあじかん(広島市西区)は売上高、純利益ともに過去最高を見込む。江角知厚取締役専務執行役員は「値上げが浸透したほか、卵焼きなど利益率の高い商品がよく売れている」と説明する。内海造船(尾道市)は円安で外貨建て新造船の収益が伸びた。工作機械部品など製造の北川鉄工所(府中市)は自動車部品が好調だった。 自動車用ゴム部品製造の西川ゴム工業(西区)は純利益を前年比65・9%増の35億円と見込む。国内の好調な自動車生産に支えられた。赤字だった北米部門の収益も改善しつつある。ただ、小川秀樹社長は「ダイハツ工業の試験不正や能登半島地震の影響もあり、24年の経営環境は不透明」と気を引き締める。 一方、寝具など製造のドリームベッド(西区)は売上高、純利益を下方修正した。ホテルなど法人需要の新型コロナ禍からの回復が遅れた。化学メーカーのマナック・ケミカル・パートナーズ(東京)は純利益を92・7%減の6千万円と見込む。中国経済の減速を受け、家電の部品などに使われる難燃剤の需要が急減している。 23年4~12月期業績の純損益は増益・黒字転換が30社となり、減益・赤字の20社を上回った。売上高は62・0%に当たる31社が増収だった。
中国新聞社